思いやりのある、お役所としては迅速な対応に喝采が起こる、かと思いきや、今度はこの措置に対して批判の声が集まった。
「世界中で清浄国とされるのは、日本を含めて7つの国・地域しかない。特例措置によって狂犬病が入ってきたら、蔓延リスクが高まるとの批判が起きたのです。ただ、隔離措置を適切に行っていれば、狂犬病が入るリスクはないと思います」(伊東氏)
長く“清浄国”であり続けたがゆえに、日本人の狂犬病への危機意識は薄れ、法律でワクチン接種が義務づけられているにもかかわらず、「東京の接種率は推定30%台」(伊東氏)というのが現状だという。
狂犬病に感染した犬や猫などは殺処分されることが定められており、万が一狂犬病が蔓延したら、あなたのペットも命を落とす。その先には、ヒトへの感染の未来が待っているのだ。そうした状況下で、ヒトが犬にかまれるという事例。常陸太田市の担当者に話を聞いた。
「かんだ犬は毎年ワクチン接種していたと聞いています。かまれた職員は、翌日には普通に出勤しました。けがの程度は、見た目にはわからないくらいです。髪の毛をそったり、包帯を頭に巻いたりということもなかった」
幸い、職員に狂犬病感染の疑いはなかったという。とにもかくにも、ヒトとペットが安心して暮らせる環境が整うことを祈るばかりだ。
※女性セブン2022年5月12・19日号