鉄道車両やバス、航空機などの座席シートには、耐久性だけでなく肌触りが滑らかで座り心地がよいことが求められる。その条件をそなえた「モケット」と呼ばれる布地の一種が鉄道車両に使われている。駐日米国大使に”Love the really plush seats!”「ふかふかの座席」と賞賛された阪急電鉄の座席について、ライターの小川裕夫氏が、なぜ「ふかふか」なのかの秘密に迫った。
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ラーム・エマニュエル駐日米国大使が5月11、12日に大阪府と兵庫県を訪問。大使は、両県の移動に阪急電鉄を利用。阪急のふかふかのシートに感嘆し、「ハンキューベリマッチ」と上機嫌にダジャレをツイート。これがバズったのだ。
エマニュエル駐日米国大使は、今年2月にも神奈川県横須賀市にある在日米海軍横須賀基地を視察するために京急電鉄に乗車している。その際、大使は夫人同伴で通勤電車に乗車した。SPが警護していたとはいえ、アメリカの大使が特別列車ではなく、一般乗客と混乗の電車に乗ったことは大きな話題になった。
こうしたことからも、エマニュエル駐日米国大使が鉄道ファンであることは窺える。では、大使が感嘆した阪急電車のふかふかシートとは一体どんなものなのか?
「阪急電鉄は、お客様が快適にご乗車できますように座席には工夫を凝らしています。座席は快適性を追求し、盃ばねと呼ばれる弾力性に優れた円錐形のばねを組み込んだ金枠、それに帆布生地、フェルト生地、スポンジクッション、ゴールデンオリーブ色のアンゴラ山羊の毛を使用した表地といった5層構造になっています」と話すのは阪急電鉄広報部の担当者だ。
担当者が口にしたゴールデンオリーブと呼ばれる鮮やかな緑色は、阪急が長年にわたって座席に使用している伝統色。阪急電鉄広報部によると、「いつから使い続けているのか不明」とのことだが、1960年に登場した2000系から使用されるようになったと言われている。