玲奈さんが事情を聞かれたという案件について、本誌・週刊ポストが黒山署に問い合わせると、「現在捜査中のため、詳細をお答えすることはできない」との回答だった。
西山改めAについて取材を進めると、過去に東日本大震災の補助金を不正に受け取った詐欺容疑で実刑判決を受けていたことがわかった。
本誌はAの携帯電話にかけたが、つながらなかった。
「3K確認」の鉄則
就職活動につけ込んで性的行為を要求する手口は、近年企業内でも問題化している。
2019年には住友商事と大林組で、「OB訪問」をした女子大生への性的暴行事件が相次いだ。昨年6月には近鉄グループHDの採用担当男性が「エントリーシートの添削」を理由に女子大生をラブホテルに誘い込み、セックスを強要したことが『週刊文春』で報じられた。
日本ハラスメント協会代表理事・村嵜要氏によれば、2021年に「就活ハラスメント無料相談ホットライン」に寄せられたセクハラの相談件数は91件。うち約30件が、会社内部の人間が「内定」をチラつかせて女子大生に性的な行為を要求するケースだったという。
「各企業で採用決定権を持っている担当者は男性が圧倒的に多く、入社希望の女子大生の不安につけ込む人間は少なくありません。
内定のハードルが高い大企業ほど、採用者の立場がより優位になりやすいので、こうした被害のリスクも高まります」(村嵜氏)
西山が玲奈さんにチラつかせた「素行調査」について、村嵜氏はこう話す。
「SNSの利用状況や過去の発信内容を確認する程度であれば、IT企業を中心に10年ほど前から行なわれています。これは採用選考にエントリーするにはSNSアカウントの提示が必須、といった選考方法の場合です。
ただ、探偵のようなリアルの素行調査は聞いたことがありません。業界特有の事情ということもありえない」