五体不満足の幟を立てて、街頭演説の準備をする乙武洋匡さん(撮影:小川裕夫)

五体不満足の幟を立てて、街頭演説の準備をする乙武洋匡さん(撮影:小川裕夫)

 男子高校生3人組は「AV新法ってなんですか?」と興味津々だったので、私は簡単に説明した。説明を聞き終わった男子校生3人組は盛り上がり、「好きな女優を聞いてみよっか?」と再び相談を始めた。そして、一人が挙手。乙武さんに指名されてマイクを握った。しかし、男子高校生は違う内容で質問をした。

 その後、質問をした高校生から「せっかく教えてくださったのに、質問はできませんでした。すいません」と謝ってきた。公衆の面前だから、好奇心よりも恥ずかしさが勝ってしまったのだろう。それは仕方がない。むしろ、男子高校生たちが勇気を持って選挙の立候補者に質問をしただけでも十分な成果だったように感じた。そして、それは高校生にとっても貴重な体験になったはずだ。

 思い描いていた質問はできなかったが、3人の表情からは満足したように見えた。帰り際、3人組の一人が「選挙に興味が湧きました。何か関われるようなことはありますか?」と私に聞いてきた。

 私は「大変だけど、ボランティアで選挙を手伝ってみるのがいいんじゃないかな」と教えた。男子高校生は「そんな関わり方があるんですね。ありがとうございます」と頭を下げて駅へと走っていった。

 2016年から18歳でも選挙に参加できるようになり、今年度からは成年年齢が18歳へと引き下げられた。成年に達すれば、高校生でも社会の荒波に揉まれることになる。高校生にとって、政治は決して遠い世界の話ではなくなっている。

 だから私は高校生でも政治や選挙には積極的に関わってほしいと思っている。「くだらない質問したら、怒られるかな?」と案じることはない。私たちは、政治と無関係で生きることはできないのだから、政治家にAVの質問をぶつけたっていい。

 最初はくだらない質問になってしまうかもしれないが、その経験によって高校生や大学生の興味が広がっていくことだってある。どんなことでも、疑問や興味があるなら政治家への質問を我慢する必要はない。

 衆院選と異なり、参院選は必ず3年に一度ある。投開票日がおおよそ確定している参議院選挙では、立候補者予定者が公示日前から盛んに街頭に出て演説をしている。街頭演説は、政治家から話を聞ける絶好のチャンスでもある。

 最初は緊張するかもしれない。質問や意見をうまく言葉にできないだろう。それでも質問をしてみれば、政治の世界がこれまでとは異なって見えるに違いない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン