警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回はコロナ禍で客足が戻り始めた夜の街の店で、暴力団元組長が振る舞っているというまかない牛丼について。
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「俺の作るご飯は美味しいって女の子たちも言うからね」と言って暴力団の元組長が見せてくれたのは、底の深いフライパンいっぱいに作られた牛丼の写真だ。若い頃、組事務所のまかない当番で料理の腕を磨いただけあって、薄切りの牛肉は煮汁が程よくしみ込み、肉の間にのぞく玉ねぎはしんなりと白く透きとおって、見るからに美味しそうだ。
コロナ禍の緊急事態宣言や自粛要請によって様子がすっかり変わったという組事務所では、組員たちの出入りが少なくなり、「以前のように、事務所で一緒に鍋を囲んでということはなくなった」という。
だが彼が関係する夜の街の店では客足が戻り始め、働いている女の子たちが忙しくなってきたようだ。コロナで営業自粛を余議なくされていた時は、収入がなくなった彼女たちのために、元組長が時々、店の厨房で食事を作っていたが、今は出勤してきた彼女たちの腹ごしらえのため、時間のある時に厨房に立っているというのだ。
「うちの若いヤツが『あそこの組の組長は、車で店の女の子たちを送っているんですよ』と驚いたように言うからさ、『うちの組は、元組長が女の子のまかないを作ってるよ』と言ってやったら、『そうでした!』と大笑いになった」と明るい。
「そう笑う若いヤツらも食べたがる」というレシピは至って簡単だ。「組の当番では、さっさっと作れるものでなきゃいけないからね」。
「今日は牛肉の薄切りが500gなので、玉ねぎは2~3個。これを薄切りにしておく」
当番の時に用意していた肉の量は比べものにならないぐらい多く、若い者たちには、某有名牛丼チェーン店でいえば、牛肉が約170gある特盛ぐらいはあったようだ。女の子たちが食べるのはせいぜい並盛り約90gか小盛約70g程度、作る鍋もかなりの大きさがあったらしい。