「西村先生から玉ねぎが届いたのですが、これは、どういう経緯で来たのか、私たちもよくわかっていなくてですね。みなさんに配られているんですか? これ毎年なんですか? どういう意味なんでしょうか? 他の議員さんのところにも来ているんですか?」
取材した本誌・週刊ポスト記者が逆に質問攻めにあう形になった。ちなみに、同じ比例近畿ブロック選出でも、日本共産党の穀田恵二氏、国民民主党の斉藤アレックス氏、立憲民主党の森山浩行氏のところには、玉ねぎは届いていないという(事務所回答)。
この「玉ねぎ配布」に関しては、別の問題も浮上している。政治資金や公選法に詳しい法学者、上脇博之・神戸学院大学教授が指摘する。
「基本的に、国会議員が自分の選挙区に寄附を行なうことは禁じられています。根拠条文は、公職選挙法199条の2です。自分の選挙区というのは、小選挙区で当選した衆院議員なら自分の選挙区内。衆院比例区当選なら、そのブロック内。参院比例議員の場合は、日本全国です。その域内の有権者や寺社仏閣も含めて、寄附は禁じられています。
寄附というのはお金だけでなく、モノ(品物)も駄目です。さらにお金やモノを渡すという約束も禁止されています。
それから、地元寄附に関しては、買収と違法な寄附の2種類に分類できます。買収というのは、選挙での当選を目的に金品を渡すこととされています。ですから、お中元のように『1票よろしく』『選挙よろしく』と言わずに金品を渡す場合は、選挙目的でないため買収になりません。が、それでは言わねばセーフということになってしまうので、事実上の買収を違法な寄附として禁じています。これが『地元寄附の禁止』です。
それに照らすと、西村康稔代議士の名刺が提示された玉ねぎが兵庫9区内の有権者に配られていれば、公選法の地元寄附の禁止の規定に抵触します。少々ややこしいのが近畿ブロック内への寄附の場合です。西村代議士は、選挙区で当選していますが、近畿ブロックにも重複立候補している。また次の総選挙でも、重複立候補すると見られます。ということは、西村代議士は、兵庫9区の候補者であるとともに、近畿ブロックの候補者でもあります。だとすれば、西村代議士は9区内だけでなく、近畿ブロック内への寄附も禁じられていると考えるべきでしょう」
当然、国会議員も有権者の1人。「西村たまねぎ」は近畿選出の議員にも贈られているから、公選法上の疑義が出てくる。