急激な物価高やロシアのウクライナ侵攻により不安定化する安全保障、今後も続く見込みの新型コロナウイルス感染対策など、7月10日に投開票日を迎える参議院選挙で挙げられている課題は複数ある。今回は全体を多様性というテーマが通底しているのではないかとみるライターの小川裕夫氏が、各党の活動から見えてきた多様性への対峙についてレポートする。
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参院選の公示日となる6月22日が迫り、公示前最後の週末になった6月18日、19日は各陣営が支持を拡大させるための活動を本格化させていた。
東京選挙区から無所属で立候補した乙武洋匡さんは、2ちゃんねるの創設者でインフルエンサーとしても高い人気を誇るひろゆきこと西村博之さんをゲストに招き、渋谷駅前で街頭演説を実施。土曜日の渋谷駅前という状況やひろゆき人気もあり、乙武さんの演説にはたくさんのギャラリーが集まった。
筆者も渋谷駅に足を運び街頭演説に耳を傾けた一人だが、そこでは通常の街頭演説で見ることができない光景を目撃した。
一般的に、選挙の街頭演説では候補者本人や応援弁士がマイクを握って支持を訴える。乙武さんはマイクを握ることはできなので、ヘッドフォンスピーカーを替わりに使う。そのヘッドフォンスピーカーは本来なら乙武選対のスタッフが手助けをして装着する。しかし、このときは応援弁士のひろゆきさんが装着を手伝っていた。それだけでも異例な光景だったが、約2時間にわたった演説では途中にひろゆきさんが乙武さんに水を飲ませるという、”介助”をする場面もあった。
なにげない光景ではあるが、四肢欠損というハンデがある乙武さんはペットボトルを手に取って自力で水を飲むことすらできない。そんなハンデがあっても、乙武さんは参院選に挑戦している。
そう書くと、乙武さんだけが孤高の挑戦をしているように受け取れるかもしれない。しかし、今回の参院選は多くのマイノリティが名乗りをあげて、国政に挑戦している。
私たちは、どんなに政治に無関心でも政治と無縁で生きることはできない。昨今、物価高によってコンビニで買う弁当やパンも高くなり、生活を圧迫する。物価上昇に対して負担が大きく生きづらいと感じるのは、長らく日本経済が停滞し、労働者の賃金が上がってこなかったことが大きな原因だ。これがすべてではないものの、賃金が上がらなかった要因は政治によるところが大きい。