夏本番はこれからだというのに、異例の暑さが日本列島を襲った。縁側で風鈴の音を聞きながら涼んだ日は遠い昔のように感じられ、“どんどん暑くなっている”という実感があるが、この国の気温はどこまで上がってしまうのか。
今年は既に群馬県桐生市、伊勢崎市、山梨県甲州市、埼玉県熊谷市などで気温40℃を突破。東京は7月3日に過去最長となる9日連続の猛暑日を記録した。例年より早い時期から猛暑が続いた理由について気象予報士の高塚哲広氏はこう語る。
「偏西風の影響で、日本列島上空を覆う太平洋高気圧の上に、中国大陸から張り出すチベット高気圧が重なったことが記録的な猛暑の原因です。
二つの高気圧が重なる『ダブル高気圧』が起きると、背の高い一つの高気圧のような状態になって、より暖かい空気が吹き下ろしてくる。7月や8月によく見られる現象ですが、6月に発生した今年は異例でした」
7月、8月は、このダブル高気圧の影響で、例年を超える厳しい暑さになるとも報じられている。
近年、日本ではこうした異常な暑さの記録更新が相次ぐ。2018年に熊谷市、2020年に静岡県浜松市で歴代最高の41.1℃が観測されたのをはじめ、国内最高気温観測ランキングの上位のほとんどを、2018年以降のものが占めている。
環境ジャーナリストの富永秀一氏が語る。
「温暖化で地球全体の気温が上昇していることが背景にあります。また、日本はヒートアイランドによる都市熱上昇やフェーン現象、気圧配置や偏西風の気流など気温を上げる要素が複数ある。悪条件が重なれば、これまでになかった気温上昇があり得ます」
さらに富永氏は、将来の見通しについてこう警鐘を鳴らす。
「気象庁による観測は、芝生の上1.5mを標準としているので、最高気温が40℃を超えたといった場合、都心部の道路上などでは実際の気温はそれよりも高い。照り返しの強い場所では50℃近くになるところもあります。
もしこのまま温暖化が進みヒートアイランドなどが解消されなければ、あくまで気象観測ポイントではなく局所的にですが、5~10年後に50℃を超えるエリアが出てきてもおかしくありません」