2021年度の売上高TOP20にも生活習慣病の薬がズラリ

2021年度の売上高TOP20にも生活習慣病の薬がズラリ

眠くなって…

 リクシアナ(4位)、イグザレルト(11位)などの抗凝固薬はどうか。内科医・谷本哲也医師(ナビタスクリニック川崎)が解説する。

「抗凝固薬では副作用の出血に注意が必要です。血液がサラサラになって腸から出血したり、鼻血が出たりします。抗凝固薬を処方される人は血管が弱っている方が多いので、転倒による内出血や血腫のリスクも高い。

 私の患者さんでも、転倒して頭を打ち、頭蓋内出血で緊急手術になったことがあります。抗凝固薬は飲まないと脳梗塞のリスクが上昇するので、メリットとの裏表ですが、副作用をよく理解したうえで生活していただきたい」

 15位のヒュミラと20位のシンポニーは抗リウマチ薬だ。

「自己免疫疾患のリウマチは全国に患者さんが一定数いることと、根治が難しい病気なので薬が手放せず長期投与になることが、売り上げの上位を占めた背景にあります。ただ、ヒュミラとシンポニーは効果が高い半面、副作用も多い。作用として免疫力を抑えるために、感染症などに罹りやすくなります。がんと同じく寛解状態になれば休薬することはありますが、漫然と飲むことになる傾向は否めず、注意が必要です」(長澤氏)

 さらに年間の売り上げ(2021年)にはないが、2020年のランキングでトップ20に入ったリリカをはじめとする疼痛治療薬にも注意を促す。

「腰痛やヘルニアなどの神経痛を抑える薬です。神経に作用することで眠気がかなり出ることが知られています。添付文書の副作用には、めまいと傾眠(周囲の刺激があれば覚醒するが、すぐ意識が混濁する状態)が20%以上、意識消失が0.3%未満と、いずれも高頻度で記載されています。患者さんからも『眠くなって困る』との相談が多く寄せられており、実際にタクシー運転手の方が服薬して仕事に出てしまい、仕事中に眠気に襲われて事故を起こしかけたとの話がありました。

 初めて処方されて飲んだら眠気に襲われて転倒し、骨折したという高齢者の方の話もよく聞きます。整形外科に行くと処方される機会が多い薬ですので気を付けてください」(長澤氏)

 基本的に、売り上げが上位の薬は、「副作用が少ないから」と説明されて処方されることが多い。

「だからこそ、医師もたくさん処方するのでしょうが、状況によっては副作用で危険な状況になることが考えられます。その薬が適切な処方かどうかは主治医1人の判断に委ねるだけでなく、薬剤師も含めて積極的に相談して確認する機会を持っていただきたい」(長澤氏)

 どんな薬にもリスクはある。服用後、少しでも異変を感じたらすぐに医師や薬剤師に相談していただきたい。

※週刊ポスト2022年7月22日号

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