ライフ

年間売上高TOP20にランクインする身近な薬 知っておくべき「重大な副作用」

身近な薬にも副作用が(イメージ)

身近な薬にも副作用が(イメージ)

 どんな薬にも必ず「副作用」が存在する。それは多くの患者に処方されている「売れているクスリ」も例外ではない。

 医療情報の調査を手掛けるエンサイスの昨年度の年間売り上げランキングを見ると、1位と2位は「抗がん薬」だった。

 いずれも、がん細胞の免疫抑制機能を阻害して、白血球中のT細胞を活性化することでがんを治療する「免疫チェックポイント阻害薬」の新薬オプジーボとキイトルーダだ。適応となるがんが徐々に増えたことで引き下げられつつあるが、現在の薬価は100mgで10数万~20万円台と非常に高く、年間では1000万円を超える金額となるため上位を占めた。これらの副作用としては、免疫反応が過剰になって全身の臓器に炎症反応が起こることが知られている。

 公開されたトップ20には抗がん薬が複数ランクインしたが、生活習慣病など身近な薬も少なくない。そうした薬については別掲の表に示した。

 イタリアのミラノ・ビコッカ大学の研究で、長く飲み続けると糖尿病の発症リスクが高まると指摘された胃腸薬、プロトンポンプ阻害薬(PPI)のタケキャブ(3位)とネキシウム(7位)がランクインした。薬剤師の長澤育弘氏(銀座薬局代表)が言う。

「最近指摘されている糖尿病との関係性以外は、基本的に副作用が少ない薬です。この2つがランクインしたことには、供給面での理由があります。タケキャブもネキシウムも薬価の高い先発薬です。昨年あたりから続くジェネリックの供給不足の問題が影響したと考えられます。ジェネリックメーカーがPPIを十分に供給できないため、先発薬が処方されるケースが多いのでしょう」

 8位には利尿薬のサムスカ、9位には降圧剤のアジルバがランクインした。いずれも高血圧の治療に用いられる。

「サムスカはV2受容体拮抗薬と呼ばれるタイプの利尿薬で、薬価は1錠2500円と高く、(比較的効き目の強い)ループ利尿薬でも効果が出なかった時に使われます。副作用としては、とにかく尿がどんどん出るので、血圧が下がりすぎてめまいが生じやすくなります。

 利尿薬は体重が減る副作用もあり、痩せ型の高齢者は転倒リスクなどへの注意がさらに必要です。添付文書の副作用には体内のナトリウム異常や急性肝不全、肝機能障害がかなりの高頻度で書かれており、服用する際には十分な注意が必要になります」(長澤氏)

 降圧剤のアジルバは、併用注意の薬も少なく「安全性が高い」と評価されているが、この季節は服用に注意が必要だ。

「血管を拡張させて血圧を下げるアンジオテンシンII受容体拮抗薬と呼ばれるタイプの薬で、血圧が下がりすぎることに注意が必要なのはサムスカと同じですが、副作用や併用にそこまで注意が必要な薬ではありません。

 しかし、最近の猛暑は異様な状態です。利尿薬や降圧剤は尿の回数が増えるので、現在のように異常な暑さが続くなかでは、汗の量が増えて脱水状態になる可能性が高まります。降圧剤を服用中は、命に関わりますので熱中症にご注意いただきたい」(長澤氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン