家族の「おせっかい」が健康を作る 早期発見なら症状は最大限に
〈瀬川さんの父・伸(しん)さんは、紅白出場経験もある人気歌手だった。母・たか子さんはそんな夫の才能に惚れ込み、自身は喫茶店やバー、焼き肉店を経営しながら全国を巡業する伸さんを支えた。瀬川さんはそんな父に5才のときから厳しいレッスンを受け、子役として父のステージに立ったこともある〉
瀬川:家族のためにいつも奔走していた母は2004年、81才で突然この世を去りました。心臓まひでした。近くに住んでいたのに、仕事が忙しくて時々しか顔を見せてあげられなかったことを悔やみました。後を追うようにして父も亡くなりました。両親は、私が新聞に出れば記事を全部スクラップして、姉は新曲が出るといえばあちこちのレコードショップで山のようにCDを買い込んでくれていて……。そんな家族を失うのは寂しいものです。
巽:おつらい経験をされましたね。
瀬川:両親に続いて姉も71才で亡くなりました。糖尿病から腎臓を悪くして、人工透析を頑張ったのですが……。
母も姉も、亡くなった直接の原因が肝炎だったわけではありません。だけど体が弱ったり病気にかかったりしたことに、肝臓は少なからず影響していたのではないかと思っています。だから、もし私がもっと早くこの病気のことを知って、母や姉のことをケアできていたら、2人とも長生きできたんじゃないかって、いまでも考えるんです。
巽:もちろん、正しい知識のもと早く対処することで治療の選択肢は広がると思います。ただ、当時はいまのように情報が多くなかったですし、調べる手段も限られていました。
瀬川:最近はインターネットやテレビでも肝炎に関する情報が簡単に手に入るから、後悔しないように活用してほしい。特に家庭を持った女性は自分のことは後回しにしてしまいがちです。母もいつも、父や私たちの世話に明け暮れていました。妻として、母として、毎日忙しくしている女性こそ、まずはご自分の健康をいちばんに考えてほしい。
過去に肝炎ウイルス検査を1回も受けたことがなければ、症状がなくても一度は受けてみてほしいです。いまは簡単に血液検査で結果がわかりますから。ご家族のかたが「1回、受けて来なよ」と“おせっかい”を働いて病院に連れ出すのもいいと思います。
巽:おっしゃる通りですね。会社の健康診断や、民間の医療機関などのほか、過去にB型肝炎検査を一度も受けたことがなければ、保健所などでも無料で受けられるため、お住まいの自治体に問い合わせることをおすすめします。