最大派閥で領袖を失った安倍派、党を仕切る茂木敏充・幹事長をトップとする茂木派のなかにも“隠れ菅派”がおり、彼らの存在が派閥分裂のトリガーになるリスクを孕んでいるという。
「安倍派は当面、集団指導体制で進めていくことになりましたが、安倍氏がもっとも実力を買っていたのは萩生田光一氏です。当選6回というキャリアの浅さから派閥を継ぐことは叶いませんでしたが、このまま年功序列で進んでいくなら萩生田氏は不満を募らせることになるでしょう。そこで重要になるのが菅氏との関係です。菅氏と萩生田氏は官房長官―副長官として培った信頼関係があり、萩生田氏は安倍氏と並んで、菅氏を政治家として尊敬している。
それは茂木派も同じです。茂木氏が派閥を継いだものの、将来の領袖候補である加藤勝信氏からすると、茂木氏よりも自らを官房長官に抜擢してくれた菅氏に恩義がある。彼らは“隠れ菅派”というべき存在であり、菅氏の動向いかんでは、岸田派を除く自民党主要4派で一気に分裂含みの動きとなりかねません」(同前)
当の菅氏は7月13日に出演したBSフジ番組で、勉強会の設立について「(安倍氏の事件を受けて)こういう状況になったので、いろいろ考えるところがある」と述べ、当面は見送る考えを示唆した。菅氏が動けば、一気に政局化しかねない状況であることは間違いない。