2021年、コロナ禍にもかかわらず、海外移住を果たしたアラフォー女性・ NATACOさんが地中海に面したトルコの都市イズミルから送るエッセイ第4回。今回は誰しも一度は悩む親子関係について。これを読むと、明日から親、あるいは子供への接し方を変えようと思える、そんな内容です。【連載全5回中第4回】。
* * *
イズミルの中でも、大学が多く「学生の街」といわれるボルノワ地区は、おしゃれなカフェバーがたくさんあり、美味しいご飯もお手頃な値段で食べられるとあって大学生で溢れる人気のエリアです。
しかし、たくさんのカフェバーがある中で、店員さんに学生らしき人をあまり見掛けないことにある日、気が付きました。UbaEatsのような宅配サービスがこちらでも人気ですが、その配達員も学生ではなく、若くても30代。トルコの学生たちはどんなアルバイトをするのか気になって友人に聞くと、「学生はアルバイトをしないよ。だって学生なんだから」と答えられました。
でも、学生たちは夜な夜な街に出歩き、楽しんでいる様子。遊べるお金は一体どこから手に入れているのだろうと不思議に思って聞くと、「親が子供に遊ぶお金をあげているんだよ」とのこと。中にはアルバイトをする大学生もいるらしいのですが、それはレアケースなんだとか。
アルバイトをせずに友達と夜な夜な遊ぶ大学生は、東京でもよっぽどのお家柄じゃないと難しいのではないでしょうか。
もちろんトルコの大学生の親が全て裕福なわけではありません。大学に通う子供にアルバイトをさせず、遊ぶお金までサポートするという形は、日本人には理解しにくいと思います。私の日本人の友人に大学生時代にアルバイトをしたかを尋ねると、家族に経済的に余裕があったにもかかわらず、自らアルバイトを志願して働いたと言います。
しかし、トルコでは子供がアルバイトをするといっても親がなかなか許さないというのです。その理由は「あなたは学生だから、友達と過ごす時間を大事にすべき。それに、他の友人があなたの働いている姿をみたら、家が貧しいのでは? と思われるではないか」と。