コロナ禍で急増した給付金や補助金詐欺だが、今度は「現職の政治家」が逮捕された。福岡県警は8月1日、大阪府寝屋川市議・吉羽美華容疑者(42)、無職・渡部秀規容疑者(48)ら男女5人を詐欺容疑で逮捕したと発表した。捜査関係者はこう話す。
「5人の逮捕容疑は2020年12月、大阪・堺市の介護福祉施設に対し、独立行政法人『福祉医療機構』(WAM)の『新型コロナウイルス対応支援資金』制度の利用などを持ちかけて『特別な条件で融資』『返さなくともいい』として仲介手数料5940万円をだまし取った疑いが持たれています。渡部容疑者は厚労省やWAMの関係者を称し『WAMは通常の融資も受け付けているが審査が厳しくなかなか通らない。自分らがやれば簡単に審査が通る』と言っていたようです」
吉羽容疑者は2007年に寝屋川市議に初当選。2選後は国政に挑戦し、2012年には当時の民主党で衆院選、2013年には新党大地で参院選、2017年には希望の党から衆院選に出馬するものの、いずれも落選。2019年に寝屋川市議選に再挑戦し当選、市議として再スタートを切っていた。過去には写真集も発売していて、「美人すぎる議員」として話題にもなった。
吉羽容疑者が関係した疑惑については昨年から情報が寄せられており、NEWSポストセブンでも取材を進めていた。今回の逮捕に至った堺市の介護福祉施設以外にも複数の被害者がいることを確認している。吉羽容疑者に騙されたという、都内のクリニック院長がその手口についてこう話す。
「吉羽容疑者に初めて会ったのは2020年の8月、六本木ヒルズにあるグランドハイアット東京の一室でした。私の知人から今回逮捕された渡部容疑者を紹介され、グランドハイアットで会うことになり、そこに同行してきたのが吉羽容疑者でした」
ホテルで対面した渡部容疑者は「厚労省の元官僚で厚労省にコネがある」と言い、WAMの融資について説明したという。吉羽容疑者は説明する男性の傍らでうなずくなど、秘書的な役割をしていたという。
「彼らはWAMについて『今年中に消化しなければならない予算があり、消化しないといけない』と言っていました。役所の関係の予算ですので、不審に思いながらも、WAMは以前から知っていた機構ですし、厚労省OBに、現職の市議会議員までがそう言っているので『そんな話もあるのか』と納得してしまいました。私の場合、コロナの特別融資ではなく『福祉医療貸付』という通常の貸付で借りることになりました」(前出の院長)