肛門にできるがんの特徴と仕組み

肛門にできるがんの特徴と仕組み

 だからこそ排便力を鍛えることが重要だ。それには、排便時の姿勢が大切になる。佐々木医師は、「考える人のポーズ」で踏ん張ることを提案する。

「座ったまま前かがみになった姿勢をとると、直腸と肛門の角度が真っすぐになり便が出やすくなります。ただし、人によっては真っすぐや上体を反らした体勢のほうが出やすい人もいます。その場合は、足の裏全体をしっかり床に着けて下半身を脱力させます。足の裏全体が床につかない場合は、足台や段ボール箱などで高さを調節しましょう。

 出す時には、余計な力を抜いていきみすぎないように注意したい。いきみすぎると肛門がうっ血して便が出にくくなります。大きく息を吸い込んでお腹を膨らませ、息を吐きながら体の力を抜いて肛門が開いているのを感じながら排便をすると、無理なく出しやすいはずです」

 出口付近の便秘を解消するには、お腹のマッサージが有効となる。「下腹部揺すり」という方法がある。

「便が肛門付近で留まっている場合、下腹部に刺激を与えることが効果的です。考える人のポーズで便器に座った状態で両手の親指をおへそに置き、おへそよりも下の部分を包み込むように両手で持ちます。そして、お腹を上下に優しく揺すると数十秒で便意を催す人もいます」(佐々木医師)

 肛門は健康のバロメーターとなる。何より大切なのは、お酒の飲みすぎやお腹の冷えすぎに注意して、食物繊維を多く摂取するなど、生活習慣の改善だ。そして、自覚症状が出たら恥ずかしがらずに肛門科などの専門医にかかることが肝要だ。

※週刊ポスト2022年8月5・12日号

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