7月末の夕方、都内在住の斉藤良子さん(52才・仮名)は喉に違和感を覚えた。その後、発熱して37.5℃になったので不安にかられ、翌朝8時半の受付開始時刻に最寄りの発熱外来に予約の電話をした。ところが電話は一向につながらない。20分ほどしてようやく相手が出たのでホッとしたが、電話口のスタッフからこう告げられた。
「電話が殺到し、予約受付はすでに終了しました」
第7波の感染急拡大で感染者が発熱外来に押し寄せ、斉藤さんのように診察の予約が取れない人が激増している。医療逼迫に、特に心配を募らせるのは子供がいる家庭だろう。夏はRSウイルス感染症やプール熱、手足口病など、子供がかかりやすい発熱を伴う病気がはやり、新型コロナと見分けがつかない。5才の子供を持つ九州在住の主婦・内村恵さん(40才・仮名)が言う。
「ママ友の子供が熱を出したので近所の小児科クリニックを初診で受診しようとしたら、一般外来が制限されていて、受診できなかった。コロナか別の病気かわからないのに、医師に診てもらえないなんて……。自分の子が発熱したらどうなるのか、不安が増すばかりです」
一方、都内在住の高橋佳代さん(55才・仮名)は安堵の表情を浮かべる。
「体が重くなったので心配になり、時間外だったけどかかりつけ医に電話したら、診てもらえることに。『この間のように、ちょっと疲れが出ただけなので問題ありません』と言われて安心しました」
受診の是非を分けたのは、普段から「かかりつけ医」を持っていたかどうかだ。厚生労働省もこう通知する。
《発熱等の症状が生じた方は、まずはかかりつけ医等の地域で身近な医療機関に電話等でご相談ください》
ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長の島田菜穂子さんが指摘する。
「知り合いの内科医から聞く話では、新型コロナの問い合わせが多すぎて受診を断るケースでも、普段から通う患者の予約は極力断らないそうです。コロナ禍初期のワクチン予約が取れない時期も、普段から来院する患者を優先したと聞きます」
政府は感染拡大の初期段階で受診できない患者が多いことを問題視し、かかりつけ医の制度整備を進める方針だ。
女性は「婦人科」も見つけておくべき
いまだからこそ、頼りになるかかりつけ医をつくっておきたいが、そもそも、どうやって見つけるものなのだろうか。まず、かかりつけ医はどの診療科で探すべきか?
「やはり『内科』でしょう」
そう指摘するのは新潟大学名誉教授の岡田正彦さん。
「内科は風邪や腹痛などの身近な病気を診てもらえるし、どこが悪いのかはっきりしないときの最初の窓口になります。また、胃腸に不安がある人は『内科・胃腸内科』、循環器なら『内科・循環器内科』など自分の病歴に合う内科を選ぶのもひとつの方法です。いろいろな科のかかりつけ医を持つよりも、まずは内科1か所に決めることをおすすめします」