2022年6月15日、前日からの熱波の影響を受け、フランス南西部ボルドーの鉄道駅の外で線路の温度をチェックするフランス国鉄の従業員(AFP=時事)

2022年6月15日、前日からの熱波の影響を受け、フランス南西部ボルドーの鉄道駅の外で線路の温度をチェックするフランス国鉄の従業員(AFP=時事)

 47都道府県で最北端に位置する北海道だから、年間の平均気温は低い。猛暑にならないとは言い切れないだろうが、本州や九州と比べれば、可能性は低いはず。それにも関わらず、JR北海道が散水車を導入したのは、どんな事情からだろうか?

2007年に4回出動

「北海道は、冬期の温度が低く年間を通じた温度変化幅は大きくなります。レールは年間の温度変化を考慮する必要があり、夏の高温時と冬の低温時の安全性を同時に確保しなければなりません。夏の高温時は、他社と比較して厳しい条件なのです。散水車の導入は、その対策といえます」(同)

 JR北海道が導入した散水車は2台あり、タンクの容量はそれぞれ35トンと32トン。散水能力は1両当たり1分間に2000リットルの散水が可能という。これら散水車は「前日17時の天気予報で、予想最高気温32度以上が想定された場合に出動していた」(同)という。

 しかし、北海道は面積が広く、JR北海道管内には長大な路線がいくつもある。全区間に散水車を走らせるとしたら、散水車は2台で足りないはず。どうやって散水していたのだろうか?

「散水車を運行していたのは、函館本線の岩見沢駅―札幌駅間と千歳線の白石駅―島松間です。導入初年となる2000年は2回の出動がありましたが、以降は2004年に3回、2005年に1回、2006年に3回、2007年に4回となり、出動実績がない年もありました」(同)

 結局、散水車は14年間で通算19回しか出動実績がなかった。JR北海道は、「散水車の導入コストやランニングコストは回答できない」と回答を避けたが、出動回数から考えると、散水車はコストに見合わないことが浮かび上がってくる。こうして2013年の運行を最後に、JR北海道は散水車の運行をやめた。その後、散水車は廃車にされている。

 また、散水車は運転士のほかに散水を担当する保線社員が同乗し、リモコンで散水の操作をしていた。散水作業に免許などの資格は不要だが、担当者は線路を熟知したベテランの保線社員でなければならない。そうした人事・労務面でも非効率な面があったことが推察できる。

 だからと言って、レール温度が上昇する対策を怠ることはできない。それらを怠れば、安全運行にも支障が出てしまう。鉄道会社にとって、安全運行は絶対に妥協できない部分だ。

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