ビジネス

猛暑でレールが曲がる事態も JR北海道でかつて運行された「散水車」が必要になるかもしれない

2両のタンク車で水を撒きながら走っていたJR北海道の散水車

2両のタンク車で水を撒きながら走っていたJR北海道の散水車

 気象庁が公表している最高気温ランキング上位20は、今ではすべて40度以上だ。ランク入りしている24地点のうち20地点が2000年以降の記録で、年々、暑さの厳しさが増していることがうかがえる。気温の上昇は様々な建造物の耐熱設計の予測を上回っているらしく、2022年は橋が隆起したり道路の陥没が相次ぎ、鉄道のレールに「ゆがみ」が生じるなどしている。ライターの小川裕夫氏が、鉄道各社が行ってきたレールの暑さ対策についてレポートする。

 * * *
 今年は梅雨明けが早く、6月の時点で暑い夏が到来。東京は最高気温が35度を上回る猛暑日が連日にわたっている。そんな中、あまりの暑さに鉄道のレールが曲がるといった事態が全国各地で報告された。

 7月10日、佐賀県の鳥栖駅と長崎県の長崎駅を結ぶJR長崎本線の肥前山口駅―肥前白石駅間で、列車の運転士がレールの歪みを発見。これは気温が上昇し、その影響でレールが変形したとされる。JR九州は、この事態によって特急列車などを運休させた。

 8月2日には、千葉県の松戸市と流山市を結ぶ流鉄がレール温度の規定値である63度を超える64度を計測したと発表。レール温度が規定値を超えると、レールが曲がる恐れがあるとして、安全面から全線で運転を見合わせた。

 レールは鉄でできているため、気温が上昇すると変形してしまう。その変形により列車が脱線する恐れがあり、それは事故を引き起こす。事故は人命に関わる。そうしたことから、鉄道会社にとって酷暑は大敵と言える。

 近年はヒートアイランド現象や気候変動によって、特に都市部や内陸部は異常な暑さを記録している。40度近くの気温が観測されることは珍しくない。

 レールの温度を上昇させないための対策のひとつとして、鉄道会社がレールに水を撒く散水車を導入することが一案として考えられる。

「1999年の夏、記録的な猛暑により、札幌圏では列車ダイヤが大きく乱れました。JR北海道は気温上昇時の輸送障害を防止するため、広範囲にわたりレールにタンク車から散水し、レール温度上昇を抑止する目的で、散水タンク車を2000年に開発しました」と話すのはJR北海道広報部の担当者だ。

関連記事

トピックス

「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
米国からエルサルバドルに送還されたベネズエラのギャング組織のメンバーら(AFP PHOTO / EL SALVADOR'S PRESIDENCY PRESS OFFICE)
“世界最恐の刑務所”に移送された“後ろ手拘束・丸刈り”の凶悪ギャング「刑務所を制圧しプールやナイトクラブを設営」した荒くれ者たち《エルサルバドル大統領の強権的な治安対策》
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン