今オフのFA戦線で最も去就が注目されているのは西武・森友哉だ。首位打者を獲得するなど「強打の捕手」として知られ、守備面でも成長を見せている。今季は投手の持ち味を引き出すリードで西武の首位快走に不可欠な存在になっている。
そんな森と同様に去就が注目される大物選手がいる。2018年オフに西武から楽天にFA移籍し、8月18日に海外FA権を取得した浅村栄斗だ。
「このままいけば今季中に2度目の国内FA権も獲得し、楽天との4年契約も満了を迎えます。推定年俸5億円と高額ですが、球界屈指の右の強打者で31歳とまだまだ衰えは見られない。浅村自身は楽天に愛着があるようですが、今年V逸で石井一久監督が退任する事態になれば状況が変わる可能性もある。浅村が西武からFA宣言した際、GMとしてラブコールを送られた石井監督の力になりたいと移籍を決断した経緯がありますから」
西武の主力打者として活躍し、2018年に打率.310、32本塁打、球団新記録の127打点をマークしてリーグ制覇に貢献。同年オフにFA権を行使した際、西武から慰留を受けたほかソフトバンク、オリックスも獲得に乗り出した。西武残留かソフトバンク移籍の予想が多かったなか、浅村が移籍を決断した球団は同年に最下位に終わった楽天だった。
楽天では2019年から3年連続全試合出場し、2020年には32本塁打で日本ハムの中田翔(現巨人)との熾烈な争いを制して本塁打王を獲得。今季は打率.255、20本塁打、65打点で、得点圏打率.323(8月19日終了時点)と勝負強さは健在だ。
地元・仙台のテレビ局関係者はこう語る。
「移籍後にリーグ優勝は果たせていませんが、よく頑張ってくれていると思いますよ。口数が少ないですが背中でチームを引っ張るタイプですね。後輩からも『ヒデさん』と慕われている。西武時代の輝きに比べて物足りなさを感じる楽天ファンもいますが、左打者が多い楽天のなかで浅村は貴重な右のポイントゲッターです。今季も優勝を逃した場合は減俸になる可能性が高いですが、楽天は誠意を尽くして交渉してほしい。浅村抜きでリーグ優勝は達成できません。現役引退まで楽天でプレーしてほしいです」