「今年、熱中症などの暑さの影響により亡くなった人の数は国内で1万5000人を超えました。この猛暑は災害の1つ。多くの命を奪う気象災害です」
テレビに映る女性キャスターが全国的に「激暑」であり、全国140地点で40℃を超えていることや埼玉県熊谷では今夏44℃超えの日が22日になったと平然と伝える。過酷な予報に気が遠くなるばかり──。
この天気予報は環境省が公開している動画「2100年 未来の天気予報 夏」のワンシーン。このまま有効な対策をとらずに地球温暖化が進行すると、2000年頃と比較して平均気温が最大4.8℃ほど上昇する予測を踏まえてシミュレーションした2100年の天気予報である。
環境省が天気予報をシミュレーションした西暦2100年は多くの人が立ち会えない未来だが、海外の専門家らは違う未来を予想している。
2017年7月、オーストラリア国立大学キャンベラ校の研究者らが率いた研究チームは、オーストラリアでは2040年までに夏の日中気温が50℃を超える都市が現れるだろうという論文を発表した。
今年7月には、ポルトガルで最高気温が47℃に達し、スペインでも45℃以上を記録。フランスでも観測史上最高気温を塗り替えた。まさに、50℃近い気温が当たり前の世界を迎えようとしている。日本もそれほどの高温に見舞われるのだろうか。気象予報士の森朗さんが解説する。
「欧州で47℃を超える地点が出る一方、日本の最高気温記録は41.1℃です。日本は海に囲まれているので比較的熱が逃げやすい環境にあり、欧州ほど高温になることは考えにくい。ただ、20世紀にはめったにならなかった40℃台が2010年代からは頻繁に観測されるようになり2013年夏は8回、2018年は17回とかなり頻出。近い将来、日本の夏は40℃以上が当たり前になるでしょう」
日本にそんな「激暑」が訪れるとき、私たちの生活にはどんな影響があるのか。
猛暑や集中豪雨が起きやすくなった背景には地球温暖化の影響がある
梅雨のない北海道を除く全域が、史上最速の6月中に梅雨明けした今年の日本は猛暑日が続いている。梅雨明けすぐの7月1日に埼玉県の熊谷をはじめとする6地点で40℃を超えたほか、8月9日に東京は14日目の猛暑日を数え、過去最多記録を更新。毎日のように熱中症警戒アラートが発表されている。
一方、線状降水帯による集中豪雨が各地に水害を引き起こしたほか、台風も列島を駆け抜けた。まさに今年は異常気象の“フルコース”を体験している。
「一つひとつの現象は、エルニーニョ現象やラニーニャ現象の影響や、日々の気圧配置が原因です。ただ、長期的に猛暑や集中豪雨が起きやすくなった傾向を考えると、背景には地球温暖化の影響があります」(森朗さん・以下同)