膝への負担を減らすため、陳永振クリニックメディカルセンター院長の陳昌カイ医師は「特に足に少し痛みがある人は平地でのウォーキングが効果的」だと補足する。
さらに効果的かつ膝への負荷を抑えた散歩のためには「靴選び」を慎重に。
「柔らかすぎる靴や大きめのサイズの靴は不安定で膝に負担がかかるので控えるべき。靴底がしっかりしたグリップ感のある靴を選びましょう」(原氏)
自宅の玄関に椅子を用意しておけば、靴を脱いだり履いたりする時にしゃがみ込む必要がなく、膝を保護できる。
“散歩のお供”として杖を使う人も多い。ただ、そのお供をちゃんと活かせていない人が散見されると原氏は言う。
「杖は『身長の2分の1+3cm』の高さがベストです。立って持った時に肘の角度が30度曲がるのが理想。高すぎたり低すぎたりすると、姿勢が悪くなってかえって足腰に負担がかかります。
また、勘違いする人が多いのですが、杖は痛くない足側の手で持つのが正しい。痛くない足と杖の2つの軸で痛い足を支えるイメージです」
ピンク・レディーにあやかって
散歩よりも膝に優しいのがサイクリングだ。戸田氏が語る。
「自転車は歩くよりも膝への負担が少なく、“膝を伸ばす筋肉”である太ももの筋肉・大腿四頭筋を鍛えられる最高の運動です。高齢者はどんどん自転車に乗るべきです」
ただしサドルの高さには注意を要する。原氏が指摘する。
「乗り降りしやすいからとあまりサドルを低くすると、膝の可動域が増えて、膝を何度も大きく曲げてしまう。つまり、それだけ膝を痛めつけるということ。サドルは膝がスムーズに動く高さに調節しましょう」
歩いたり、走ったりするのはしんどい……。そんな人にピッタリな運動を陳氏が解説する。
「水中エクササイズは浮力のおかげで関節への負担が軽減されます。水中ウォーキングや水泳はハードルが低く、運動初心者にもお勧めです」
体を自然に伸ばすストレッチが中心になるヨガも高齢者が負担なくできる健康法だ。膝に繋がる筋肉をほぐすことで膝にかかるストレスを軽減することができる。
戸田氏が膝痛対策になるオリジナル運動法を紹介する。かの有名な歌手「ピンク・レディー」の楽曲にあやかって命名した「ペッパー警部スクワット」だ。
「壁にもたれて両足を前方に出し、股関節を開いてO脚の状態を5秒間キープすると、膝に負担をかけず内ももの筋肉を効果的に鍛えられます。5回1セットで、1日3セットを目標にしましょう」