どうしても膝の痛みが我慢できない場合の対処法を戸田氏が紹介する。
「膝の痛みが進んで軟骨がすり減ると、膝の内側から半月板が飛び出して靭帯を圧迫します。膝の内側をマッサージする『痛点ストレッチ』を行なうと痛みが改善します」
日本人なら誰でも知っている健康法の代表格であるラジオ体操は意外にもNGだ。
「特に両足で跳ぶ運動と片足跳びは膝を壊します。ラジオ体操が誕生した当時は70代が行なう運動として想定されておらず、高齢者にとっての脅威が多く潜んでいる」(戸田氏)
健康のためとはいえ、無理な運動は禁物だ。散歩やサイクリングなどのエクササイズをしたのち、膝に熱を感じたらすぐに手当てが必要となる。原氏が語る。
「膝が熱を持って痛みや腫れがある場合、炎症が起きている可能性がある。冷たい濡れタオルなどで15分ほどアイシングすると痛みの軽減が期待できます」
外に出るのが億劫な人には“ステイホーム”でできる簡単な運動がある。
「20秒ほど足踏みするだけで、足の機能を維持するのに必要な腸腰筋を鍛えられます」(戸田氏)
原氏が提案するのはこまめな掃除。
「掃除機がけやモップがけは、ゆっくり屋外を歩くよりもエネルギーの消費量が多いとされます。膝に負担がかからない姿勢で、“ちょこちょこと短く多め”に掃除することを勧めます。この先の雨や台風で天候が悪い日は家の掃除をすることが立派な運動になり、膝痛を防ぐことに繋がりますし、家がキレイになって一石二鳥ですね」
日々の買い物にもひと工夫を加えたい。
「買い物時はショッピングカートを利用し、商品を家に持ち帰る際には手提げ袋ではなく、キャスター付きのキャリーバッグを利用すれば安心できます。
肩掛けのカバンやバッグは左右どちらかに重心が偏り、股関節の変形が進んで膝に影響が出かねない。左右の重さが均等になるように荷物は両手で持ったり、持ち手を変えるよう意識しましょう」(同前)
※週刊ポスト2022年9月9日号