次に、『バナナマンのせっかくグルメ』と『有吉ゼミ』の顔になった理由を掘り下げていくと、どちらの番組も基本的に「ただ食べるだけ」のシンプルな企画。構成・演出ともに単調になりがちな中、ギャル曽根さんの“キレイな大食い”は番組のアクセントになり得るものなのです。
ギャル曽根さんが出演することで『バナナマンのせっかくグルメ』はたくさんのメニューを見せることができ、『有吉ゼミ』「チャレンジグルメ」はレアな超大盛りメニューを見せることが可能。インパクトがあるだけでなく、映像の変化をつけられることがギャル曽根さん自身の存在感アップにつながっています。
YouTubeの充実と「努力家」の素顔
最近では、登録者数約46万人を誇るYouTubeチャンネル「ごはんは残さず食べましょう」も評価されているポイントの1つ。ギャル曽根さんは主に、レシピ、家事の裏技、おすすめ商品などの動画をアップしていますが、そのほとんどがバラエティにそのまま使えそうなものばかりです。
さらにYouTube動画では、『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)などを手がける演出家で夫の名城ラリータさんと共演。「パパが痩せた!レシピ」「爆買いドライブデート」などの好感度と実用性を両立させた切り口は素晴らしく、すでに“食べるだけではないグルメ関連企画の第一人者”というムードを漂わせています。
他の番組では、『ウワサのお客さま』(フジテレビ系)、『デカ盛りハンター』(テレビ東京系)、さらにYouTubeなどで大食いタレントが次々に誕生していますが、今のところ「ポストギャル曽根」と言える存在はいません。「たくさん食べられる」のは当然として、食べ方やコメントの技術、プライベートを含む好感度の高さは、他の追随を許さないものがあるようなのです。
民放各局のテレビマンとギャル曽根さんについて話をしていたとき、もう1つ印象的だったのは、「向上心がある」「研究熱心で努力家」という評価。食べ方やコメントの研究、レシピの考案、共演者や一般人との絡み方の進歩など、さまざまな点でギャル曽根さんから誠実な人柄を感じているようでした。
そんな誠実さがあるからこそギャル曽根さんは、他人の冠番組であるにもかかわらず「もう1人の顔」になれるのではないでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。