巨人“厄介者は放出”の歴史
このまま坂本は巨人でプレーし、将来は首脳陣となるのだろうか。
「今年は5年契約の4年目ですし、今オフの移籍はないと思いますが、契約の切れる来年以降はどうなるか未知数です。今まで巨人はスキャンダルがあった選手をトレードしてきた。坂本の前のショートのレギュラーだった二岡智宏は2008年、ケガで登録抹消中に女性キャスターと五反田の9800円のラブホテルにチェックインしたと発覚。不倫を報じられ、オフに日本ハムにトレードされています。この時、左腕の林昌範も一緒に放出されていますが、彼もその2年前に写真週刊誌で女性スキャンダルが話題になっていた。少なくとも、10数年前までは私生活の乱れについて厳しい球団でした」
2008年、故障の二岡に代わってショートの定位置を奪ったのが坂本だった。
「二岡は開幕戦で肉離れを起こして離脱。その間に坂本が急成長し、二岡が戻った時にはポジションがなくなっていた。だから、巨人は二岡をトレードに出せた。もし後釜が育っていなければ、二岡は残っていたと思いますよ。巨人は私生活のトラブルを起こした選手に限らず、首脳陣批判をした選手にも厳しかった。昔の話になりますが、エースの西本聖が1986年に皆川睦雄投手コーチと対立。罰金200万円を命じられています。報道を沈静化させるため、球団の提案でオフに和解のゴルフをしましたが、その後も確執は続いた。西本はすぐには放出されませんでしたが、1986年は2桁勝利が6年連続で途切れて7勝。翌年は8勝、1988年は4勝と勝てなくなり、そのオフに中日にトレードされています」
1993年には中畑清打撃コーチと対立した駒田徳広がFA権を行使し、自ら横浜に移籍。1996年5月には土井正三総合守備コーチにバント特訓を命じられた長嶋一茂が「くだらねえ練習だよ。何様のつもりなんだよ。いらねえよ、あんなやつは」と報道陣の前で批判。厳重注意と罰金50万円のペナルティーを受けた後も一軍に帯同していたが、出場機会は減り、6月に二軍落ち。再び一軍に昇格することなく、オフに父親の長嶋茂雄監督から解雇通告を受けた。
「“厄介者は放出”という巨人の歴史を考えれば、坂本も力が衰えればトレードされてもおかしくない。首脳陣にとって一番難しいのは、成績が下降している時のベテランの使い方です。トレードに出せば、その問題は解決される。坂本が女性トラブルを何度起こしても、試合に出続けているのは巨人に必要な戦力だからです。打てなくなれば、今のような扱いはなくなる。ですから、来年再びケガで離脱を繰り返し、その間に若手にポジションを奪われればトレードは十分あり得ますよ」
グラウンドで結果を残せるうちは安泰だが、年齢的な衰えも忍び寄っている坂本。いつまでも球団に守ってもらえるとは限らない。