歳を取ったと感じやすいのが「目」「視力」ではないだろうか。少しずつ「近視」が進み、40を過ぎた辺りからは「老眼」に悩まされる。目の若返りを目指すうえで、薬などに頼らずできることもある。
「多くの人に目の血流を改善するためのセルフケアを学んでほしいです」
そう指摘するのは、Ysサイエンスクリニック広尾の日比野佐和子統括院長だ。
「血液循環を良くすることで酸素や栄養素が十分行き届き、老廃物も排出されます。目の疲れや緊張をほぐすには血流をよくすることが大切です。
現代人はスマホなどで目を酷使することが多く、水晶体の厚みを収縮して調節する『毛様体』の筋肉(毛様体筋)が緊張し続けると血流が悪化してこわばり、遠近のピント調節能力が低下しやすい。この症状が進むと、かすみ目や仮性近視、スマホ老眼、眼精疲労の原因になります」
中目黒眼科の杉本由佳院長も、毛様体の機能回復の重要性を指摘する。
「角膜や水晶体に栄養を送り、老廃物を流す『房水』という液体は毛様体で作られます。加齢や生活習慣の悪化で血液や体液の巡りが悪くなると、房水が排出されずに溜まり、眼圧が上昇します。それが視神経に悪影響をもたらし、緑内障の原因になります。また、眼精疲労からくる頭痛や全身の不調にもつながります。毛様体筋を鍛えれば、眼圧の改善や血流の促進を期待できます」
そこで効果的なのが、「毛様体筋ストレッチ」。
「遠くに見えるビルなどに目の焦点を合わせ、次に腕を伸ばしてビルと一直線になるように人差し指を立ててその指先に焦点を移します。そして、指先を見つめながら少しずつ指を顔に近づけます。指がぼやけるまでが1セットで、1日5セット行なうのが望ましい(図1)」(杉本医師)