ビジネス

かっぱ寿司社長逮捕 企業の情報流出リスク高まるも思わぬ”落とし穴”

回転寿司業界の争いは熾烈。回転ずしチェーン「かっぱ寿司」の看板(時事通信フォト)

回転寿司業界の争いは熾烈。回転ずしチェーン「かっぱ寿司」の看板(時事通信フォト)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、かっぱ寿司社長逮捕から考える「情報流出」について。

 * * *
 退職した取締役によって、競合他社の情報が持ち出される事件が起きた。9月30日、「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトの社長だった田辺公己容疑者(※10月3日付で社長辞任)ら3人が、警視庁に逮捕されたのだ。容疑は競合する「はま寿司」の仕入れ価格に関する内部データを不正に持ち出した、不正競争防止法違反だという。産業スパイさながらの逮捕劇とメディアが報じていた。

 その手口はシンプルだった。2017年まで「はま寿司」の取締役だった田辺容疑者は、はま寿司と同グループにある他社の役員などを歴任したのち、2020年11月にカッパ・クリエイトに入社し顧問となり、12月に社長に就任。その際、仕入れに関するデータなどをUSBメモリに保管して持ち出した上、かつての同僚らから日次の売上データなどを入手していたというのだ。2021年には、はま寿司からかっぱ寿司に対して、不正競争防止法に纏わる刑事告訴がなされていた。

 はま寿司は非上場のためはっきりしないが、回転寿司業界ではトップ3に入る大手に数えられており、かっぱ寿司はそれらを追いかける位置にある。おそらく田辺容疑者が退職するにあたっても、詳細に規定された秘密保持誓約書が交わされていたと推測できる。警視庁が有名企業のトップを逮捕するぐらいだから、起訴までもっていけると判断したはずだ。おそらく、秘密保持誓約書は、秘密情報の定義が明確化され、利用制限や有効期間も定められていたのだろう。

 日本国内でもこのような形で企業情報が漏えいする事件が増えているというが、産業スパイというと、やはり日本企業が持つ情報が海外に流出してしまうイメージが強い。ここ数年は、ヘッドハンティングやスカウトを装って、情報を盗もうとする中国やロシアの産業スパイが増加しているといわれている。

秘密保持誓約書に署名捺印させていたが…

 以前、退職した社員によって情報が流出し、損害を被り訴訟を起こしたが、うまくいかなかったという話をある中小企業の社長から聞かされたことがある。自社ブランドで健康食品を販売していたのだが、その製造に関する情報が持ち出されたのだった。

 社員は競業する他社に転職したわけではなかったという。ところが転職した先の企業が、その後、新規事業として健康食品の販売に乗り出したのだ。ネット通販で出回り始めた類似の商品を目にし、自分で購入して初めて、社長は流出したことに気がついたのだった。

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン