そして、日本人だけの特殊な体質をフル活用することも忘れてはいけない。2010年に、生のりやわかめなどを分解する「バクテロイデス・プレビウス」は、ほぼ日本人にしかない腸内細菌だということがわかり、話題になった。海外ではなんと、わずか15%の人しか持っていない、特殊な腸内細菌だ。
「海藻はカルシウムやミネラルのほか、腸内細菌のえさになる水溶性食物繊維もたっぷり含まれています。また、高い抗酸化作用でアンチエイジングや臓器・血管の保護、生活習慣病の予防効果があるフコキサンチンも摂ることができます。
そして、海藻からしか摂ることができないヨウ素は、甲状腺ホルモンに作用して代謝を上げ、太りにくい体づくりに役立ちます。1日に必要なヨウ素の量はわずか0.1mg。乾燥昆布1gで約2mgのヨウ素が摂れるので、みそ汁やひじきの小鉢などで充分です」
適度に体を動かし、いま以上に筋肉が落ちないようにすることも重要だ。
「日本人はただでさえ筋肉がつきにくく、どんなに鍛えても欧米人のような筋肉をつけるのは不可能です。それなのに、いまの日本人は欧米人よりも歩く習慣がない。おへそから脚のつけ根、太ももなど、大きな筋肉がある下半身を鍛えれば、効率的に筋肉量を増やすことにつながります」
ハードな筋トレをする必要はなく、ウオーキングや、できるだけ階段を使うことを習慣づけるだけでいい。歩くときにお尻の筋肉を意識するだけでも効果的だ。筋肉を増やして余分な脂肪を落とすのに役立つのが、小腸から分泌される「GLP-1」というホルモン。インスリンの分泌を促すことで血糖値をコントロールし、内臓脂肪を落とすのを助けてくれる。
「GLP-1は、玉ねぎやチコリ、ごぼうなどに多く含まれるフラクトオリゴ糖を摂ることで増えます。特に、ごぼうは食物繊維のほか、がんや生活習慣病、アルツハイマー型認知症を予防するといわれるアルクチゲニンも豊富なスーパーフード。朝に食べるとその日1日、GLP-1が出やすくなります」
奥田さんは、日本人に生まれたということは、幸福なことだと語る。この恵まれた体質を最大限に生かすため、最善を尽くそう。
※女性セブン2022年10月20日号