今年8月、女性を盗撮したとして現行犯逮捕された男は、千葉県警の警部だった。さらには、他の性犯罪にも関与した疑いが次々と浮上して、10月11日には4回目の逮捕という前代未聞の事態が起きている。暴力団犯罪を担当する捜査4課の課長補佐、岡田誠容疑者(45)の蛮行は、なぜ見過ごされてきたのか。
岡田容疑者が繰り返した性犯罪が最初に明らかになったのは8月12日。京成千葉駅構内で20代女性のスカートの中をスマホで盗撮していたところを目撃され、巡回中の警察官に県迷惑防止条例違反の疑いで現行犯逮捕された。千葉県警が岡田容疑者のスマホを調べたところ、入浴中の女性を窓の外から撮影した動画がでてきたため、今年6月に県内の住宅の敷地内に侵入し、盗撮した疑いで再逮捕となった。
2件の盗撮については起訴されたが、現役警部の逮捕はそれだけでは終わらない。
2017年7月23日の深夜に発生した性的暴行事件の現場に残されていたDNAと、岡田容疑者から採取したDNAが一致したのだ。県内の集合住宅に侵入し、女性を刃物で脅すなどして性的暴行を加えたとして強制性交と住居侵入などの疑いで再び逮捕した。
その後も余罪の捜査が進むなかで、2014年7月6日深夜にも県内の集合住宅に侵入し、女性を刃物で脅すなどして乱暴した疑いが浮上した。現場に残されたDNAから岡田容疑者の関与が判明したという。2017年7月施行の改正刑法で強姦罪が強制性交罪に改められる前に発生した事件のため、この4回目の逮捕については強姦罪が適用された。
1997年に高卒で千葉県警に採用された岡田容疑者は勤続24年になる。県警関係者はこう語る。
「捜査4課というとテレビで見るような暴力団と対峙するいかつい男を想像すると思いますが、岡田容疑者は中肉中背で服装も派手ではなく、普通のサラリーマンにしか見えません。そもそも世間一般のイメージとは違い、千葉県警の捜査4課といえば暴力団の抗争事件などもめったに起きず、銃器薬物に関しても別の課になるため、情報収集のような仕事がメインで、人によっては正直暇を持てあましているところがある。
岡田容疑者は特段、敏腕だったという評価も聞きませんが、問題を起こすようなこともなかった。順当に出世していて課長補佐という幹部直前の立場で、事件を起こさなければ40代のうちに警視になって、捜査4課長や県内の小さな警察署の署長にはなっていたはずです。だから逮捕の一報が入ると、周囲の同僚たちも『え?』と驚きを隠せなかった」