作戦一つで変わることもあります。たとえば内を通るか外を通るかでトータルで走る距離も違ってくる。内は馬場が悪いけれど、この馬ならこなせるんじゃないかなど、いろいろシミュレーションしました。
馬券を買う側からすれば、今年の菊花賞はとても面白いのではないかと思いますよ。この季節は天皇賞(秋)の他2000m前後のオープン特別や重賞、2500mのアルゼンチン共和国杯などもある。いくつかの選択肢がある中で菊花賞に駒を進めるというのは、春のクラシックで結果が出なかった馬も、夏場に勝ちあがってきた馬も、3000mに「適性あり」と判断しているということ。折り合いもあまり心配がないのでしょう。これまで注目されていなかった馬にもチャンスがあるかもしれません。
【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。
※週刊ポスト2022年10月28日号