子宮や卵巣の病気はわかりやすい初期症状がなく、発見が難しいという。ある60代女性はこう話す。
「2年前に閉経したはずなのに、最近また出血があって。友達に話したら『まだ上がってなかったってこと? よかったじゃない』と言われたけれど、何となく違和感があってかかりつけ医に相談したら『病気の可能性があるからすぐに検査を受けて』と言われ、早期の子宮頸がんだとわかりました。幸い早く見つかったため、軽い手術で済みましたが、友達の言葉を真に受けて放置していたらと思うと恐ろしいです」
東邦大学医療センター大橋病院・産婦人科の高橋怜奈さんが、説明する。
「子宮頸がんは自治体のがん検診があるものの、受診率が低い。進行したときの主な兆候は不正出血ですが、生理不順や更年期のせいだと思い込んで、わかったときには治療が難しいというケースは珍しくない。初期は無症状のため、一度も検診を受けないまま妊娠し、妊婦健診によって明らかになる事例もあります」(高橋さん・以下同)
女性の4人に1人がかかるといわれ、子宮頸がんとともに代表的な子宮の病気である「子宮筋腫」は、命の危険は少ないものの不妊の原因にもなりうる。「子宮筋腫はできる場所によって兆候が異なります。
子宮の外側にできたものなら、症状がないことも多いです。筋腫が大きくなると子宮の前にある膀胱や後ろにある腸が圧迫されて、頻尿や便秘になることがあります。思い当たるときは、一度婦人科に行ってみるといいでしょう。
子宮の内側にできる子宮粘膜下筋腫の場合、生理の量が増えたり、貧血になったりします。生理で血の塊が出たり、健康診断で貧血を指摘されたりする人は、一度受診してほしい」
卵巣の病気も、生理の異常がヒントになることもある。
「卵巣がんは見つかったときには腹水がたまって手遅れのケースもある。自覚症状がなく進行が早いので、毎年超音波検査を受けていても進行して発見されることもありますし、生理不順などの症状から偶然見つかるケースも存在します。不規則な生理に悩んで病院を受診したら、たまたま卵巣がんが見つかるという事例もある。また、急にスカートがきつくなったり、倦怠感が出たりしたときも、卵巣腫瘍や卵巣がんの可能性もあります」