免許返納には様々な葛藤も(イメージ)
畑村氏が振り返る。
「私は身の回りで事故が起きることを想像できなかったから、あれこれと言い訳をして運転を続けていたのだと悟りました。私のワガママで仮に事故が起きると、失敗学にかかわる多くの人に迷惑がかかります。それで、もう運転はやめようと決心しました」
池袋の事故以降はハンドルを握ることはなかった。仕事が暇な時を見計らって地元の警察に行き、返納の手続きをしたという。
「低血糖で倒れたこと、友人の大ケガ、池袋の事故が私のターニングポイントでした。誰にでも失敗や思いがけない出来事が生じるけど、それらを前向きに捉えて人生の糧にすることが大事です。免許返納には本人や家族の様々な葛藤があるでしょうが、私は最終的に自分が納得して決めることができたので悔いはありません」(同前)
当初は頑なだった畑村氏が免許返納を決めるまでには、長きにわたる家族の説得や自身の熟考といった道のりがあった。
※週刊ポスト2022年11月4日号