芸能

「落語の“間”が勉強になる」父の教えで寄席通いした阿川佐和子の対談本

阿川佐和子の対談本に注目(イラスト/佐野文二郎)

阿川佐和子の対談本に注目(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、阿川佐和子と落語関係の人物との対談だけをまとめた本についてつづる。

 * * *
 落語通、演芸マニアのあいだでもジワジワと話題になっているのが『阿川佐和子の この噺家に会いたい』(文春ムック)。評論家みたいなのが書くつまらない噺家論ではなく、阿川が直接きいた臨場感あふるる生の言葉の応酬にワクワクドキドキする。幼い頃よりあのきびしい父(高名なる作家。自分で調べて)からいつも叱られた。「本を読まない人間は立派な大人になれない」「お前がダメなのは、本を読まないからだ」「落語を聞きなさい。下手な小説を読むよりよほど日本語の勉強になる」

 こうして育ち、志ん生をきくようになり、二十代になると両親ともども新宿の紀伊國屋寄席に通うようになる。

 そりゃ耳もこえてくる。「聞く力」は、この頃に育まれたと思われるが、この本の中で私から「本当に聞く力無いなっ!」と恫喝されているアハハ。

 あの週刊誌で長いことやっている対談シリーズの中から落語関係の人物だけをまとめた「密」すぎる一冊。故人になった師匠も多く、行間からそのブレス、声のクセなどがきこえてくる。

 人間国宝・柳家小さんが傑作。対談場所に諸事情で遅れて行った阿川一行。小さん師匠は顔まっ赤(ゆでダコの形態模写が抜群だったしな)。怒っている様子だが話している内にうけているのを感じ上機嫌になってくる。すっかり喋ってもらい「今日は遅れてしまって申し訳ありませんでした」と言ったら、想い出したのか、またプーーッとふくれ出した。阿川は学んだ。「一度お詫びをしたら二度と話をぶり返してはいけない」。

 私の好きなフレーズ。阿川が「談志さんは最初は住み込みですか」これに小さんが「通いだよ。弟子入りに来て最初の日に仏壇の食い物つまんで食ったのはあいつだけだ」師弟ともどもいいですねぇ。

関連記事

トピックス

中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
X子さんフジ退社後に「ひと段落ついた感じかな」…調査報告書から見えた中居正広氏の態度《見舞金の贈与税を心配、メッセージを「見たら削除して」と要請》
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレが関東で初めてファンミーティングを開催(Instagramより)
《新メンバーの名前なし》ロコ・ソラーレ4人、初の関東ファンミーティング開催に自身も参加する代表理事・本橋麻里の「思惑」 チケットは5分で完売
NEWSポストセブン
中居氏による性暴力でフジテレビの企業体質も問われることになった(右・時事通信)
《先輩女性アナ・F氏に同情の声》「名誉回復してあげないと可哀想ではない?」アナウンス室部長として奔走 “一管理職の職責を超える\"心労も
NEWSポストセブン
濱田淑恵容疑者の様々な犯罪が明るみに
【女占い師が逮捕】どうやって信者を支配したのか、明らかになった手口 信者のLINEに起きた異変「いつからか本人とは思えない文面になっていた」
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
「スイートルームの会」は“業務” 中居正広氏の性暴力を「プライベートの問題」としたフジ幹部を一蹴した“判断基準”とは《ポイントは経費精算、権力格差、A氏の発言…他》
NEWSポストセブン
大手寿司チェーン「くら寿司」で迷惑行為となる画像がXで拡散された(時事通信フォト)
《善悪わからんくなる》「くら寿司」で“避妊具が皿の戻し口に…”の迷惑行為、Xで拡散 くら寿司広報担当は「対応を検討中」
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”4週連続欠場の川崎春花、悩ましい復帰タイミング もし「今年全休」でも「3年シード」で来季からツアー復帰可能
NEWSポストセブン
騒動があった焼肉きんぐ(同社HPより)
《食品レーンの横でゲロゲロ…》焼肉きんぐ広報部が回答「テーブルで30分嘔吐し続ける客を移動できなかった事情」と「レーン上の注文品に飛沫が飛んだ可能性への見解」
NEWSポストセブン
佳子さまと愛子さま(時事通信フォト)
「投稿範囲については検討中です」愛子さま、佳子さま人気でフォロワー急拡大“宮内庁のSNS展開”の今後 インスタに続きYouTubeチャンネルも開設、広報予算は10倍増
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ
「スイートルームで約38万円」「すし代で1万5235円」フジテレビ編成幹部の“経費精算”で判明した中居正広氏とX子さんの「業務上の関係」 
NEWSポストセブン
「岡田ゆい」の名義で活動していた女性
《成人向け動画配信で7800万円脱税》40歳女性被告は「夫と離婚してホテル暮らし」…それでも配信業をやめられない理由「事件後も月収600万円」
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン