健康における大きなバロメーター
高齢の男性患者の悩みで多いのは、やはり「ED」です。
EDは生活習慣病と呼ばれる疾患と大きく関係しており、腎臓の働きが弱まると発症しやすくなりますし、糖尿病でも同じです。その対策の基本は、当たり前ですが健康的な生活を心がけるということに尽きます。
まずは自らのEDの度合いをチェックして向き合うことが大切です。セルフチェックのリスト(別掲の図)があるので、それを参考にしてください。
最近、私が注目しているのはED向けリハビリ器具である「陰圧式勃起補助器具」です。当クリニックでは『ビガー2020』という名前の製品を取り扱っています。自宅で自分でも扱える器具(約11万円)で、「強制的に勃起した状態をつくる」ことで血流を改善して治療を行なう器具です。
装置に男性器を挿入し、ポンプで陰圧をかけて血流を促すと、強制的に勃起した状態がつくられます。これを10分間維持します。医療機器として認可済みなので、安全性もクリアしています。
エビデンスはないので個人的見解になりますが、マッチョの人が筋トレでさらに筋肉を太くするように、ED患者の治療だけでなく、予防目的にも使えると思っています。
実際、勃起は健康における大きなバロメーターでもあります。
私が東大の医学部時代に泌尿器科の先生に言われたことに、「勃起するのに必要な血管の太さと心臓の血管の太さは大体同じだから、朝勃ちしているうちは心筋梗塞にならない」という話がありました。ED治療中の患者さんにも、効果の基準に朝勃ちの話をします。
また近年は、将来的な「介護」を見据えて「包茎治療」をされる患者さんも増えています。介護のために行なう脱毛の延長線上ですね。医療的な見地からは、包茎の方がおむつをする時間が長くなると、清潔に保つことが難しくなり、「包皮炎」のリスクが高くなります。何歳でも遅いことはないので、気になる方は医師に相談してほしいです。
※週刊ポスト2022年11月4日号