客としての振る舞い、がよく議論される昨今である。大人力について日々研究するコラムニスト・石原壮一郎氏が考察した。
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「ふたりでラーメン店に入って自分は何も注文せず、連れのラーメンをシェアしてもらうのはアリかナシか」
そんな議論がネット上で盛り上がっています。きっかけとなったのは茨城県のあるラーメン店のツイッターへの投稿。ある日、若い女性2人組が来店し、ひとりは「ほかで食べてきたから」と何も注文せず、ふたりで一杯のラーメンをシェアして食べていたとか。
釈然としないものを感じた店主が、ツイッターに「お客様へ 今後、食べない方の入店はお断りします」と投稿。それに対して賛否両論の意見が寄せられている次第です。
あれこれ屁理屈をつけて客側を擁護したり、がんばって店主の落ち度をあげつらったりしている人もいますが、これは「客が悪い」と言っていいでしょう。「悪い」は言葉がきつすぎるなら、「カッコ悪い」と言い換えます。以前、ハンバーガーショップでも、何も注文しないで店内にいることの是非が議論になったことがありました。
議論するまでもないことが議論になるところに、穏やかに言えば世の中の変化、ストレートに言えば世の中の幼児化を感じてしまいます。「そんな決まりがどこにあるんだ!」「ダメなら最初から明記しておけ!」とドヤ顔で言いたがる輩もいますが、決めてもらって言ってもらわないとわからないのは何の自慢にもなりません。
「店に入って何も注文しない」というのは、まだわかりやすい「やってはいけない」の例です。しかし、たくさんある「暗黙のマナー」は、なんせ「暗黙」で誰もあらためて教えてくれないだけに、指摘されて初めて「え、ダメだったの」と気づくことも。無自覚のまま「カッコ悪い客」や「迷惑な客」にならないために、やらかしがちな「暗黙のマナー」をチェックテスト形式で押さえておきましょう。
あなたは大丈夫!? 「カッコ悪い客」&「迷惑な客」度チェック
次の10の項目のうち、あなたが飲食店で「それはやっちゃいけないだろ」と考える行為はいくつありますか?
【1】居酒屋で食べ物だけ頼んで飲み物は頼まない
【2】顔見知りでも何でもない店員にタメグチで話す
【3】食べ終わったお皿や小鉢をどんどん重ねる
【4】おしぼりで汚れたテーブルを拭く&使ったティッシュを器に入れる
【5】店員が持っているトレイからジョッキなどを勝手に取る
【6】喫茶店やファミレスで2時間も3時間もいるのに追加オーダーをしない
【7】大皿の料理を「逆さ箸」で自分の皿に取り分ける
【8】馴染みの店で店主に「みんなに食べてもらって」と旅行のお土産などを渡す
【9】オーセンティックバーで並べてあるボトルに無断で触る
【10】大きな声で料理や店に対するネガティブな感想を語る