免許返納ロードマップ
2週間もあればどんな危険運転をしているかおおよそのパターンが把握できるという。それを子が抽出して本人に見せることも運転能力の低下を自覚させる一助となるはずだ。
それでも親が免許返納に踏み切れない場合は、説得者を変えることも一つの手だ。
「例えば可愛がっているお孫さんや信頼する主治医が説得すると、気持ちが動く可能性があります。誰が説得するか、誰が免許返納を言い出すかでも状況が大きく変わってきます」(志堂寺氏)
第三者の助言が頼りになるケースも多い。
「都道府県では、『安全運転相談窓口』といった免許返納に向けた相談窓口を設置しており、全国統一の専用相談ダイヤル(#8080)も設けられています」(同前)
「ラストドライブ」を設定
志堂寺氏は「心変わりを防ぐ対策も重要だ」と語る。
「返納を決意したら、なるべく早い時期に家族で『返納決定祝賀会』を開いて感謝の意を伝えると、親は約束を守ろうという気持ちになりやすい。また、人生最後の運転となる『ラストドライブ』の日程と目的地を明確に決めておくと、親の心の準備が進むはずです」
迎えた返納の日は、住まいの地域の警察署か運転免許更新センターで手続きする。
返納後のケアも忘れてはならない。朴医師が語る。
「最も恐れるべきは、免許返納後に外出をしなくなるケースです。運転で使っていた脳のネットワークが急に使われなくなると脳萎縮や白質病変が進行して、要介護やうつになるリスクが増します」