「おやつや食事を与える際も配慮が必要です。たとえば、戸棚にポテトチップスを袋のまま置くのではなく、お皿に盛って“限りのあるおやつ”にしたり、お父さんが夜遅く帰宅して遅めの夕食の際、子供に酒の肴を食べさせるようなことをしてはいけません。
生活環境を整える、という点では、睡眠時間が短いほど太りやすいというデータがあるため、学童なら8〜9時間は熟睡できるよう夜間に騒がない環境を整えることも大事。
スマホなどを見るスクリーンタイムの長さも視力低下や肥満につながりますが、そんな時間のコントロールも親御さんがすべきでしょう。
場合によっては、大きな病院に“教育入院”して食事指導や運動指導を行い1週間〜10日正しい生活を学習してもらうという方法もあります」
子供の未来のため、「たかが肥満」と侮ってはならない。
子供の肥満の判定法は?
大人の肥満度はBMI(体格指数)で計算するが、子供の肥満は、標準体重に対し実測体重が何%上回っているかの肥満度で判定する。計算式は、〈肥満度(%)=[実測体重(kg)—標準体重(kg) ]÷標準体重(kg)×100〉。幼児(1〜6才)では、肥満度15%以上が「太りぎみ」、20%以上が「やや太りすぎ」、30%以上が「太りすぎ」とされる。学童(6〜17才)では、肥満度20%以上が「軽度肥満」、30%以上が「中等度肥満」、50%以上が「高度肥満」とされる。「計算式が複雑なので、標準体重を一般家庭で計算するのは難しい。日本小児内分泌学会のサイトのグラフ【*2】で大まかな肥満度を把握するといいでしょう」(大熊さん)。
【*2 幼児用と学童用の「身長体重標準曲線」グラフが男女別に掲載されており、肥満度の大まかな目安として活用できる】
【プロフィール】
大熊喜彰さん/小児科専門医として国立病院や大学病院で経験を積み、2019年に『武蔵小杉森のこどもクリニック』(神奈川県川崎市)を開院。「小児の肥満・生活習慣病」外来などを行う。
取材・文/北武司
※女性セブン2022年11月10・17日号