びゅうびゅうと風が吹く、しとしとと雨が降る、ドーンと花火が上がる、などの擬音語、擬態語の総称を「オノマトペ」と言う。そのオノマトペを自動で表示する「エキマトペ」がいま、上野駅で活躍中だ。ライターの小川裕夫氏が、「エキマトペ」とは何なのかについてレポートする。
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10月28日、今夏の参議院議員選挙で2選を果たした今井絵理子議員がツイッターを更新し、この日に視察したJR上野駅のエキマトペの報告をした。
エキマトペとは、ホームに流れるアナウンスや電車の発着などの音情報をAIによって分析し、それを文字や手話で視覚化する装置だ。
「JR東日本は山手線の巣鴨駅に2021年9月13日から15日までの3日間だけエキマトペを設置し、実証実験をしていました。巣鴨駅での結果を踏まえ、2022年6月からは上野駅に設置場所を移して、再び実証実験をしています」と説明するのは、JR東日本東京支社事業部の担当者だ。
JR東日本は、富士通や大日本印刷とともに東京五輪のスポンサーになった。それがきっかけとなり、3社は大会開催前に神奈川県川崎市の市立聾学校で”未来の通学をデザインする”というワークショップを共催する。
ワークショップでは、生徒から「電車の音が聞こえないから、それが原因で危険を感じたことがある」という意見が出た。その意見を踏まえ、3社は視覚障害者でも使いやすい鉄道を目指すべく同装置の開発をスタートさせる。
エキマトペの特徴は、単に情報を画面に表示させて伝えるだけではない。情報を伝えるだけなら、すでに同じような機器は存在する。エキマトペが画期的だったのは、「ガタンゴトン」という電車の走行音や「キンコンカン、キンコンカンコーン」という発車ベル、いわゆる擬音を文字化したところにある。
開発主体の富士通は、エキマトペ以前から音を身体で感じるオンタナという機器を開発していた。そうした実績もあり、エキマトペの開発は順調に進む。
2006年にバリアフリー法が施行されたことにより、市役所や公民館・体育館・音楽ホールなどの公共施設のほか、民間企業においても駅・銀行といった公共性の強い施設はバリアフリー化が求められた。それらに基づいて、鉄道の駅やホーム、駅前広場などはバリアフリー化が図られていく。