2016年に参議院議員に当選した今井絵理子議員は、芸能人として大活躍した。そうした前歴があるので、知名度だけで当選したタレント議員と思われがちだ。
今井議員は息子さんが先天性難聴というハンデを負っており、そのために手話を習得。議員になる前から障害者福祉に取り組み、埼玉県の手話言語条例の制定にも助力した。この経験をもとに政治家を志し、2016年の参議院議員選挙では手話を交えた街頭演説を実施している。
再選を目指した今夏の選挙では、自身の演説だけではなく応援弁士や議員仲間の演説も手話通訳した。こうした活動からは、今井議員の障害者支援が生半可なものではないことを感じさせる。障害者支援に取り組む今井議員が、エキマトペに高い関心を寄せることは自然な話でもある。
他方、エキマトペの導入を進めるJR東日本をはじめ鉄道各社は公共性が強い企業とはいえ、バリアフリー化に取り組んでも利益が増えることはない。むしろ、施設改修などで負担は増える。昨今、鉄道各社はコロナ禍や燃料高により収支が厳しい。とてもバリアフリーに予算を回せる状況になく、ゆえにバリアフリーへの取り組みは後回しにされがちになる。
今井議員がエキマトペを視察してツイッターで紹介したツイートにより、鉄道におけるバリアフリー化の必要性が広まることだろう。障害を抱えた人だけではなく、健常者がバリアフリー化の必要性を感じることで、その声がバリアフリー化を後押しする。そして、さらに使いやすい鉄道へと近づいていく。
使いやすい鉄道への追求に終わりはない。