韓国・ソウルの梨泰院地区で150人以上が圧死したハロウィン。この10月末、東京・渋谷でも約12万人がハロウィンイベントに押し寄せたといい、スクランブル交差点は若者たちで溢れかえっていた。
「もう、うんざりです」
そうため息をつくのは、渋谷センター商店街振興組合の小野寿幸理事長だ。
「入国制限が緩和されたこともあって、外国人観光客も戻ってきました。それに何より、コロナの反動で騒ぎたい若者が多くて多くて……」
商店街ではこれまでも店を早く閉めたり、アルコール類の販売を休止したりと様々な自衛策をとってきたが、不安は尽きないと小野氏は言う。
「商店街のほとんどの店では仮装者を入店禁止にしていますが、それでも、何が起きるかわからない。ハロウィンを見に来るギャラリーは大半が終電までに帰りますが、問題は仮装して騒ぐ若者たちです。22時ぐらいにやってきて朝まで酒を飲んで、喧嘩やナンパをしたり。
モラルも何もなく、人に迷惑をかけることを気にしない。ハロウィンでテロのような事件が起きるのではないかという懸念すらあります」
暴れる人に対処したら、次は酔いつぶれた人に対処しなくてはならない。
「特に困るのはトイレ問題。街のあちこちで小便はもとより大便までする連中がいるのです。2階に上がる階段やビルの間、エレベーター内なんて目も当てられない」(小野氏)
教育評論家の尾木直樹氏は、コロナ禍での学校生活の息苦しさがハロウィンにぶつけられたのではと指摘する。
「コロナで失ったものを回復したいというエネルギーが、悪い方に、短絡的に出てしまっていると思います。本当ならば運動会や文化祭などの学校行事に新しい価値を見出す“学校ルネッサンス”にエネルギーをぶつけてほしいのですが」