当日ならマス席を「1人分」から買える
福岡国際センターのチケット売り場前に張り出された15日間の販売状況を確認してみた。するとやはり、千秋楽までタマリ席、マスS席(1~4段目)は完売しているにもかかわらず、その後ろのマス席の売れ行きは芳しくない。マスA席(5~8段目)はかろうじて千秋楽が売り切れているものの、マスB席(9~10段目)、マスC席(11~13段目)は千秋楽まで全日売れ残っている。そして、その後方のペアシートや椅子席はかなり売り切れが出ているのだ。
会場内で確認できる状況とも符合する。平日はマスA席でも埋まっているのは6段目あたりまでで、9~13段目のマスB席とマスC席はほとんど人が座っていない。そして、その後方のペアシート、椅子席A、B、Cは埋まっているのだ。
マスA席に座っている男性に話を聞いたところ、「NHKに映るのがマスA席の5、6段目までということじゃないかな」と笑っていたが、その一方でタマリ席に座る角界の事情に詳しい維持員の男性は「2020年5月の夏場所からの料金改定が影響しているのではないか」と話した。
「新たにマス席の区分が細分化され、平日と土日祝日で違う料金にしたんです。それまでもマス席はA、B、Cにランク分けしていたが、A席の前方4段目までを新たにS席として料金を設定した。
もともと、B、C席は高さとしては2階席となるので、相撲人気が高い時は一見さんを中心に売れていた。それが、コロナ感染対策で飲食もできないということでA席に15日間通っていた相撲好きの常連(高齢者)が来なくなり、空いたA席にB、C席の一見さんが流れた。そうなると平日はA席までが精一杯と判断した協会が、S席を設定して売れる席を値上げしたということでしょう」
コロナ禍の影響もあって、B、C席にマッチする来場者の需要がなくなっているという見方である。実際、九州場所のチケット売り場担当者のひとりは「B席もC席も前売りは4人料金で買わないといけない。A席(平日4万4000円)と大きく値段が変わらない(B席平日3万8000円)ために苦戦している」と口にした。
ただ、この担当者はそうした状況があるからこそ、マス席が“独占”できる可能性のあるウラ技があると教えてくれた。
「当日なら窓口でマス席を1人分(B席平日9500円)から購入できます。もちろん相席になる可能性もあるが、窓口ではできるだけ配慮しています。4人席を1人、カップルでお得に独占することもできます」