臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、妻殺害容疑で逮捕された長野県議会議員がインタビューで見せていた表情や言葉について。
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11月28日、長野県議会議員の丸山大輔容疑者(48才)が妻を殺害したとして逮捕された。妻、希美さんは昨年9月29日、塩尻市にある自宅兼事務所で死亡しているのを発見された。事件当日、丸山容疑者は長野市にある議員宿舎に宿泊していたと証言していたが、警察の捜査でこのアリバイが崩された。丸山容疑者は容疑を否認しているという。
逮捕の一報に、複数のメディアが、今年9月に行ったという丸山容疑者へのインタビューの様子を報じた。どれも事件発生から1年が経過し、その胸中を聞くという主旨のインタビューを交え、淡々とした発言や時折見せた表情への違和感を報じているものも多い。
丸山容疑者を、妻を殺害された夫、被害者遺族としてみれば、その様子にたとえ違和感があっても、現実を受け止めきれなかったり、悲しみをこらえ感情を押し殺したりして対応しているのだと思うだろう。笑みを浮かべていても、そこにどんな感情が含まれているのか、マスク越しではわかりにくい。
だが丸山容疑者を加害者としてみるならば、印象はずいぶん違ったものになるし、ひっかかる発言もいくつかあった。例えば2021年11月に行われた、希美さんの告別式でのインタビューだ。犯人をどう思っているか問われた丸山容疑者は、「一日も早く犯人が捕まってほしいなとは思っています」と冷静に答えている。当時は、肉体的にも精神的にも疲労困憊していたとも思ったが、被害者遺族ならもっと強く逮捕を切望するものではないだろうかとも思った覚えがある。どこか他人事のような「ほしいな」という言葉と冷めた表情に、夫婦関係はどうだったのかと訝しくなる。
今年9月のインタビューでは、さらに気になる発言があった。ニュースで使われている2人が並んだ写真について聞かれた時のことだ。写真には、自社の造り酒屋で造る酒瓶を抱えた希美さんの横に、丸山容疑者が寄り添うように並んでいる。写真は仏壇の前に飾られることなく箱に入れられたままだったようだ。その理由を問われ、丸山容疑者は「恥ずかしいじゃないですか。捨てられはしないですけど」と答えている。