「不完全燃焼で葛藤があった」と語った山田

「また音楽に呼び戻されているような不思議な縁を感じる」と語った山田さん

 仕事は何をしているか、具体的にはお話できませんが、きちんと働いていますよ。寝るのはいつも夜中12時過ぎですね。なんか1日を終わらせるのがもったいなくて。大リーグで活躍する大谷翔平選手の試合を見ながら、ビール片手にポテトチップスをつまむのが至福のときです(笑)。オフシーズンの今は大谷選手の動画を見たり……。ちなみに、大谷選手の試合は全162試合応援させてもらいました(笑)。

 音楽から身をひこうと決めた29歳の頃、決めた以上は一線をひいて、表にはなるべく出ないように心がけてきました。周囲はバンドマンとか音楽家ばかりなので「ちょっと手伝ってくれない?」などと声をかけられ、魔が差してレコーディングやライブハウスで歌ったことは数回ありましたが、ほとんど断っていました。

 中途半端なことをして『SLAM DUNK』ファンをがっかりさせたくなかったし、やはり自分自身が音楽のことを考えるのが苦しかったのもあります。だから、一瞬とはいえ、誇れることをやっていたという気持ちはありますが、振り返らないようにしていました。不完全燃焼で葛藤があったんです。

 ただ、ここ最近になって、苦しい気持ちが薄れ、また音楽に気持ちが向かうようになってきました。子どもが成長して、ようやく自分の時間がとれるようになったからかな。それと期を同じくして、『THE FIRST SLAM DUNK』公開が決まって、また音楽に呼び戻されているような不思議な縁を感じています。『SLAM DUNK』と、今も『君が好きだと叫びたい』を好きでいてくれる方たちには感謝しかありません。

 何かの形で恩返していければ。やれる範囲でね。具体的には考えていませんが、今はそんなふうに思っています。

【プロフィール】山田恭二(やまだ・きょうじ)/1968年6月14日、埼玉県浦和市(現・さいたま市浦和区)生まれ。4歳上の兄の影響で洋楽に興味を持ち、小学生のときにギターを始め、中学時代にバンド活動開始。高校卒業後、バンド活動をしながらプロ歌手を目指してボーカルスクールへ。音楽制作会社兼事務所「ビーイング」にスカウトされ1993年、4人組「BAAD」のボーカルとして『どんな時でもHold Me Tight』(ZAIN RECORDS)でデビュー。同年、アニメ『SLAM DUNK』の主題歌『君が好きだと叫びたい』がヒット。1996年、正式に「BAAD」脱退。

取材・文/中野裕子(ジャーナリスト) 写真/山口比佐夫

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