2022年のクリスマス直前、Twitter社はすべてのツイートの閲覧数(インプレッション数)を表示する新機能「View Count」を発表し、日本のユーザーにも実装された。しかしその前後から一部の「自称」インフルエンサーが消える、過去の発信をすべて非表示にする、ツイートしなくなるなど、不自然なSNSしぐさを見せるアカウントが散見された。俳人で著作家の日野百草氏が、閲覧数の可視化がユーザーにもたらすものについてレポートする。
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「Twitterがあと出しでインプレッションまる出しにするなんて驚きました。もちろんバレたでしょうね。フォロワー万超えなのに全然読まれてないって」
そう苦笑いするのは都内でWEBプロダクション事業を営む50代経営者、中小企業のホームページ作成や修正保守、SEO対策など手掛けているが、自社でいわゆる「キュレーションサイト」も手掛けている。そのサイトへの誘引に活用しているのがTwitter、実際には存在しない自称インフルエンサーの女性アカウントや「イケメン」イラストの男性プロフィール画像のアカウントなどを駆使してきたが、インプレッション数が見られるようになったのを機に、しばらく一部のアカウントは休止にしたと話す。
なぜなら、その万を超えるフォロワーの大半は買ったもの、つまり自称どころか自作自演のインフルエンサーだったからだ。
「インプレッション数が数百とか、バレバレで恥ずかしいし、そうなったら意味ないですからね、他のアカウントも対策できるまで様子見です」
インプレッション数(閲覧数)とはTwitterで自分のツイートが他のユーザーにどれだけ見られたか(タイムラインに表示されたか)の数字である。これまでTwitterでは自分のツイートのインプレッション数は確認できたが、他のユーザーのインプレッション数はわからなかった。しかし12月23日ごろから各ユーザーのツイートに表示され始めた。
現状、アカウントやツイートによっては出たり出なかったりというケースもあるようだが、インプレッション数とはYou Tubeの視聴回数みたいなもの。ただしYou Tubeとは違い、Twitterは再生回数でいくら、と見られただけで(一定の条件はある)収入が増えるわけではない。しかし商業的な宣伝はもちろんアフィリエイト目的といった外部サイトへの誘引や、インフルエンサーによっては1ツイートいくらなど、企業PR案件で稼ぐケースもある。どれもネット界隈において周知の話かもしれないが、本稿は媒体性格上、詳しくない読者やROM専(基本、閲覧するだけの人)に向けても記している。
「他のインフルエンサーとか情報商材、副業系とかのコンサル系なんかも、フォロワー万超えなのにツイートのインプレッションが2桁とか3桁とかで『垢消し』したのもいますね。知り合いの副業コンサルもフォロワーが多いだけなのがバレて『恥ずかしい』『つぶやきづらくなった』って愚痴ってました。そいつ、全然儲かってないのに儲かってるから教えるって『設定』のコンサルなんですけどね。ま、匿名でやりたい放題の世界ですから。いまさら言わなくても、Twitterなんてそんなのだらけです」