一定の距離を保ちながら、無言で日本国旗を振り続ける参賀者たち。マスクを着用しているため表情を読み取ることはできず、旗を振るパタパタという無機質な音が響くばかり──1月2日、皇居・宮殿で新年一般参賀が行われた。コロナ禍以前であれば「天皇陛下、万歳!」と誰からともなく声が上がったが、今年は異様な静寂に包まれていた。
コロナの影響で3年ぶりの実施であると同時に、天皇家の長女・愛子さまが初めて参加されるとあって、事前申し込みの抽選倍率は約11倍にもなった。宮殿バルコニーに姿を見せられた愛子さまは、水色のロングドレスをお召しになり、胸元には真珠があしらわれたシルバーのブローチが輝く。放送作家のつげのり子さんは、ブローチに込められた思いをこう分析する。
「皇室の方々は、ご誕生の際に『お印』というその方独自のシンボルマークを与えられます。愛子さまが今回身につけられていたブローチは、陛下のお印である『梓』のように見えます。天皇陛下をお支えしたいという献身的なお気持ちを表しているのではないでしょうか」
その思いを物語るように、愛子さまは堂々と一般参賀デビューを飾られた。
「お手振りの始まりと終わりのタイミングを計られている様子でも、周囲をキョロキョロされることなく、終始余裕があり落ち着いていらっしゃいました」(皇室記者)
そうした愛子さまのご様子を直接拝見できたのは、ごく限られた当選者だけ。コロナ厳戒態勢を貫く宮内庁の方針は、公的な活動のみならず、愛子さまのキャンパスライフにも少なからず影響している。大学入学後、数えるほどしか通学されていなかった愛子さまが、昨年12月にキャンパスに3度、足を運ばれた。
「卒論のテーマ決めや試験のための通学だったようです。4年生への進級を控え、卒業論文の執筆も始まるため、オンライン授業だけでは限界があると感じられたのでしょう」(宮内庁関係者)
ただし、これを機に愛子さまの通学が日常的に再開されるわけではないという。
「今後も通学の必要に迫られた際に、その都度両陛下や侍医らと相談し、判断することになるでしょう」(前出・宮内庁関係者)
その方針に「もったいない」という声も上がる。
「大学は中学校や高校とは大きく異なり、地方出身者や留学生など、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちと出会い、見聞を広めるチャンスです。通学を様子見されるということになれば、愛子さまの交友関係が限られたものになってしまいかねません」(皇室関係者)
政府はすでに、アフターコロナに舵を切りつつある。
「2023年春をめどに、感染症法上の位置づけを季節性インフルエンザなどと同じ『5類相当』に引き下げることも検討されている。そうなればコロナは“普通の病気”になる。感染しても入院勧告や行動制限などの措置はなく、コロナ禍以前の日常に近づくことになります」(別の皇室記者)