2019年、エリザベス女王の誕生パレードを出迎えるロイヤルファミリー。ヘンリー王子とメーガン妃も笑顔で参加していた(EPA=時事)

2019年、エリザベス女王の誕生パレードを出迎えるロイヤルファミリー。ヘンリー王子とメーガン妃も笑顔で参加していた(EPA=時事)

 だが今やそのイメージは変わってきている。環境や人間関係に敏感に反応し、物事をネガティブに捉えやすい面が露わになるにつれ、王子のレジリエンスがどんどん低下している印象が拭えない。困難な状況も乗り越え、より良い対処法を探すより、本音を暴露し自分たちを被害者とみなし、正当化する方が優先されている気がする。

 多くの人が指摘するように、王子の主張には強烈な矛盾が感じられる。自分たちの意思で王室から離れておきながら、身を引く気配はない。プライバシーの侵害を盾にメディアを批判しながら、大切なはずのプライバシーを切り売りして注目を集める。家族を傷つける意図はないとしながら、王室の内実をさらけ出して波風を立てる。不平不満をぶちまけるように様々なエピソードが明かし、自分やメーガン妃を正当化する。

 王子の苦悩やメーガン妃のストレスに共感していたメディアや世間も、それが度重なればマイナス感情をぶつけられることに疲れてくる。王室やメディアを利用して多額の富を得ながら、自分たちを正当化し続ける彼らにうんざりしてくる。共感や同情は諸刃の剣である。行き過ぎれば不快感を与え、反発や反感を生むことになる。

 移住した米国では、王子やメーガン妃を擁護する声が多いらしいが、この暴露本でその一線を越えてしまった感のあるヘンリー王子。いったい王子はどこに向かっているのだろうか。

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