大阪府八尾市で1月13日午後1時20分ごろに起きた、盗難車の“暴走”事件。警察官2人が発砲し石橋健太容疑者(41)が死亡したことで、拳銃使用が適切だったかどうか、議論が巻き起こっている。
大阪府警は、司法解剖の結果、死因は失血死だったと発表した。八尾署員2人が運転席側と助手席側から発砲。うち3発が石橋容疑者に命中した。体内からは2発が見つかっており、右脇腹の銃弾が致命傷になったとみられている。
石橋容疑者が乗っていたのは盗難車で、事件当時は無免許の状態だった。警察は、手配中の盗難車を発見、追尾。石橋容疑者はパトカーや他の車に衝突させながら逃走していた。警察官は追いついたところで車から降りるよう指示したが、無視して車をバックさせるなどしたため、発砲したとされる。
発砲に至る詳しい経緯は調査中とされているが、すでにネット上では「警察が発砲したのは適切だった」「無理な追跡をしていたのではないか」などと議論が巻き起こっている。
果たして拳銃使用は適切だったのか。“警察の警察”と呼ばれる監察官のOBが、匿名を条件にこう語った。
「最終的に使用が適切だったかどうかは、詳しい捜査結果を待たなければ断言できません。しかし、すでにわかっている内容を見る限り、今回の場合は合法だった可能性が高いと考えられます。
まず第1に、石橋容疑者は撃たれる直前、片側1車線の道路を時速100km近いとみられる猛スピードで暴走していたこと。
そして第2に、パトカーにも車を衝突させていたこと。これにより、警察官などに対する殺人未遂の疑いで捜査が進められているとされています。
第3に、盗難車から覚醒剤のような白い結晶や、使用済みの注射器が見つかっていること。事件当時に覚醒剤を使っていた状態だったかはわかりませんが、今後、解剖結果の分析で明らかになるでしょう。
警察官は、警察官職務執行法の第7条により、『正当防衛』もしくは『緊急避難』に該当する場合などに武器使用が認められています。今回はそのいずれか、または両方に該当する可能性が高いといえます」