「このファスティングは、筋肉量を維持しつつ、確実に脂肪を落とすことを目的としています。オプティマムとは『最適』『最善』という意味。ファスティングをきっかけに、その後の食生活を見直し、やせ体質に改善していくことがゴールです。『太ったらまたファスティングをすればいいや』では、体質改善になりません。『一生に一度』と思ってトライしていただきたいですね」
オプティマム・ファスティングを行うとどう変化するか、表1の女性の例を見てみよう。まず、自己流の「野菜と果物だけ食べる」ダイエットで体重は減ったものの、なぜか体脂肪が増え、筋肉量は減ってしまっている。
「その後、オプティマム・ファスティング+たんぱく質中心の栄養指導を行ったところ、体脂肪率が格段に減少しました」
脂肪燃焼を促進するためには運動も並行すべきだろうか。
「体脂肪率が標準値(25〜34.9%)の女性なら多少の効果もあるかもしれませんが、体脂肪率40%を超える人がいきなり運動をするのはけがのもとになりますし、よけい食欲が出てしまうでしょう。そもそも、1kgの脂肪を消費するには7200kcalが必要で、それを運動で消費するのは、アスリートでも至難の業です。それよりは、食生活を見直した方が確実です。脂肪のもととなる間食をやめるだけで効果が出ます(表2参照)」
このファスティングの体験者からは、やせた以外に「肌に潤いが戻った」「眠れるようになった」などの副次的な効果も寄せられたそうだ。
「あるクリニックに導入したところ、患者の中性脂肪やコレステロール値、血圧が改善されました。現在は、格闘技選手の減量にも使われています。体の機能を落とさないので、試合のパフォーマンスが格段に上がったそうです」
重要なのは、体重ではなく体脂肪。体組成計は必携だ。
「見た目でやせていても、体脂肪が多ければ体質改善の余地がまだまだあります」
【プロフィール】
坂田武士/薬剤師。日本予防医学マイスター協会代表理事で予防医学士。大手製薬会社勤務、特別養護老人ホームの経営を経て「サムライフ」を設立。“薬をすすめない薬剤師”として1万人以上に予防医学カウンセリングを行う。著書に『改訂版 4日間で脂肪だけをキレイに落とす本』(学研)がある。
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2023年2月2日号