2022年6月12日、浜名湖を望む静岡県湖西市の宿泊施設で130人規模の乱倫パーティを開催したとして、主催者の50代男女(自衛官のS男と看護師のR子)が公然わいせつ幇助の容疑で逮捕された(のちに不起訴)。現場となったのは浜名湖の森の奥に建つ2棟の2階建て貸別荘。
静岡県警の発表によれば、5月末に匿名の情報提供があり、当日は150人体制で現場に突入した。浜名湖のパーティは日本各地から参加者が集う「全国大会」と呼ばれ、愛好家の間では有名な会合だったという。
前代未聞の大規模パーティとその摘発劇はなぜ起きたのか。逮捕された主催者の男女カップルが初めて取材に応じた。【前後編の前編】
「上書き」が重要
──お2人はいつから乱交パーティを主催するようになったのですか。
S男:最初に説明させていただきたいのですが、僕たちがやっていたのは乱交ではなく「スワッピング(夫婦交換)」です。夫婦やカップルなど、関係性のある男女が同じ嗜好を持つカップルとパートナーを交換し合う場を設けていました。
──乱交とスワッピングはどう違うのでしょうか。
S男:乱交は性欲発散が目的で感情の揺れ動きはほぼ皆無でしょう。夫婦や恋人といった関係性や物語性もありません。それがダメとは言いませんが、スワッピングは大切なパートナーを交換して、行為をした後に自分のパートナーとして愛を確かめ合う。これを「上書き」と呼ぶのですが、この上書きこそが重要なんです。
──その性癖の目覚めはいつでしたか。
S男:29歳の時に友人に誘われて初めてそういう会に行きました。当時は北海道勤務で、札幌のマンションの一室でした。なんとも言えない淫靡な雰囲気に惹かれ、その後、様々な変態の世界を覗いたんです。その中でもスワッピングが一番しっくりきました。R子の場合、最初はハプニングバーだったんだよね?
R子:はい。39歳の時にネット上で出会った年上男性に連れて行かれたハプバーがきっかけでした。私はバツイチで、もともとそういうことが好きでしたが、それまで女性は男性と交際しないとできないものだと思い込んでいて、物足りなさを感じていました。でも、初めて足を踏み入れたハプバーで、衆人の前でする女性を見て衝撃を受けたんです。
S男:その衝撃を受け入れられるかどうかが変態の世界の入り口。僕はその後、今はなきスワッピング専門誌で交換相手を探すようになった。
──なぜスワッピングの場を主催するようになったのでしょう。
S男:純粋に上質な変態を集めた場を提供したいと思ったからです。R子が目覚めたハプバーは1990年代後期から2000年代にかけて流行り始めましたが、ハプバーは乱交パーティと同じで変態の純度が低く、客質も悪い一面がありましたからね。