1つは多くの人への影響や負担を考慮していたためだろう。2020年2月、ジャニーズ事務所を退所した中居さんは、会見で「誰かに相談しましたか」という質問に「1人も話していないです。相談するといろんなことを言ってくれますし、それで自分の中で遠回りになることも懸念だったので」と答えている。
このコメントを今回の状況に当てはめると、自分の状態や病状を明かせば、たくさんの人がいろいろなアドバイスや励ましのメッセージをくれ、負担をかけることになる。同時に自分にもそれだけの負担がかかってくる。ファンらには心配をかけるが、公表しようがしまいが、邪推や憶測が消えることはない。誰にも話さなければ自分の体調や仕事の心配をすればいいが、話してしまえばその影響は測りしれない。
もう1つは「防衛機制」という心理的作用だ。人には他人に見られたくないものだけでなく、自分が見たくないものも隠そうとする心理が働くことがある。病気や体調不良という印象を早く払しょくしたいのは、第一線で活躍する芸能人なら当然だろう。『~キャスターな会』では、今の体調を「万全」とし、「ぼくがおかげさまで元気になりましたというと、元気を強調みたいな」見出しの記事が出るかもと愉快そうに語っていた。
だが、そこはMCとして評価が高い中居さんである。口を閉ざすより、重病説や死亡説を逆手にとって「みんな、死ぬと思ってたの」と表情豊かにレギュラー陣の笑いを誘った。『仰天ニュース』の冒頭では、もう1人のMCである笑福亭鶴瓶さんにまくしたてるほど軽快なトークを見せ、「お前元気やな、もうちょっと病人やったら、病人らしくせい。えらい元気で腹が立ってきた」と突っ込まれていた。他の人が聞きにくいことは自虐的な発言で笑いを誘い、率直でいながら、言いたくないところはオブラートに包んだように含みをもたせて相手に委ねる。
そんな元気な中居さんの司会をこれからも楽しみにしている。