体験取材でおなじみの『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子(63才)が、世の中のさまざまな話題や身の回りの出来事に、気ままな意見をぶつける。今回のテーマは「オバ記者、コロナになりました」。
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2022年末、新型コロナウイルスに感染しました。この原稿を書いているいま(1月7日)、発症1週間目で自宅療養期間の最終日です。
……しかし、なんでもやってみなくちゃわからない、というのが私のモットーだけど、実際かかったコロナは「聞いてないよ!!」「話、違くね!?」の連続でした。
思えばこの半年よね。しばらく音信が途絶えていた仕事仲間から「実はコロナだったのよ」と聞かされたり、行きつけの和食屋さんのカウンターで「コロナでたばこをやめた」という人がいたり。私の足元にもひたひたとコロナが近づいてきている感じはあったの。昨年10月末に亡くなった親友(享年65)は、すい臓がんの末期で入院していた病院でコロナのクラスターが起き、直接の死因になった。でもそれはあくまで例外中の例外で、オミクロン株になってからはコロナから「死病」のイメージが薄れてきたのも事実。
「ま、感染したところで死ぬわけじゃないし」という声なき声は、満席のレストランや居酒屋、劇場を見れば聞こえてくる。こうして私たちはふつうの生活を取り戻していくんだな、とうれしくなっていたの。
だけど私が今回、裏切られたような気持ちになったのは、そういうことじゃない。「コロナといえば高熱が出る。そうなったらそれ行け、発熱外来!」という思い込みよ。
デパートや役所、居酒屋、美術館の入り口などで一瞬で体温を測ってくれて、「体温は正常です」のアナウンス。それを聞いてホッ。これがお決まりとなったいま、「コロナ陽性判定の決め手は発熱」って誰だって思うじゃない。つまり、熱さえ出なければコロナじゃない、と。
いまにして思えば、私の体に異変が起きたのは、弟の車で福島の親戚の家へ向かった12月30日。車の中で軽い咳が出たの。でもこの季節、咳込むなんてことは当たり前で、年を取ると喉に何か引っかかっているような感覚は珍しくない。若い頃、なんで年寄りはあんなに咳をしたり痰を吐いたりするのか不思議だったけれど、それを自分が「ゴホッゴホッ」。あぁ、年は取りたくないわよね。
「ん!? おかしいかな?」と思ったのは翌大晦日の夜。背中がゾクゾクして親戚宅のベッドにもぐりこんだものの、寒くてね。なかなか体が温まらないんだわ。で、体温を測ったら36.8℃。平熱が36.2℃だから発熱しているといえなくもないけど、「微熱ってことは普通の風邪だね」と私は思ったわけよ。
異変といえば、むしろ頻尿よ。その夜は、トロっと寝ると尿意で目が覚める。スマホで時間を見ると30分、1時間しかたっていない。結局20回はトイレに立ったけれど、これがコロナの症状かどうか。
明けて元日。弟の車で茨城の弟宅に戻ってきたら、体がだるくて仕方がない。それで熱を測ったら37.1℃。結局、これが私のいちばん高い発熱だったの。とにかく東京の自宅に戻ることにして、家の中をひっくり返してコロナの検査キットを見つけ出し、鼻水を絞り出して検査をしてみたら、まさかの陽性!
さあ、それからよね。かかりつけ医の診察が始まるのは5日からで、それまではひとりで頑張るしかない。幸い、1か月ほど前に風邪っぽかったので、かかりつけ医から葛根湯と解熱鎮痛薬を処方していただいていたの。食料はカップ麺やら冷凍ご飯やら備蓄はある。で、相変わらず発熱はしないけれど、とにかく起きてはいられないんだよね。お腹が空いて何か食べて薬をのんだら寝る。目が覚めているときはスマホでYouTubeを見たりするけれど、いつの間にか爆睡。
「ああ、これがコロナか」と思ったのは、3日目の昼過ぎよ。喉の一部分に細かいトゲがビッシリ刺さったかと思うようなイヤ~な痛みが走ったの。それで1時間おきにうがいをして爆睡したら、夜中には痛みが消えていたけど、4日目、5日目は頭痛。頭痛持ちじゃない私は、おでこの裏側がぎゅーっと締めつけられるような痛みは経験したことがない。濡らしたタオルを当てたら痛みが軽減した気がしたけど、目が覚めるとまた頭痛。同時に味覚もヘンになっていったのよね。キムチ鍋をしたけどキムチの辛味は少し感じるけれど、においがないの。